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2022-07-20 00:00
(連載1)苦渋の選択、首相の原発再稼働指示
岡本 裕明
海外事業経営者
物価上昇の一因は燃料価格の上昇にあります。その背景はロシアのウクライナ侵攻と言われますが、本質的にはSDGsの流れで環境問題が注目され、化石燃料が否定的な扱いをされている影響がより大きいとみています。つまり、ロシアはSDGsトレンドに便乗する形でウクライナ侵攻を仕掛ければどうなるかという計算をしていたとみた方が正解ではないかと思います。
足元を見ると原油価格は大きく下がっています。ニューヨークマーカンタイルで一時91㌦程度をつけるまで下落したのでピークからは25%ほど下がりました。(現在は100㌦台に回復しています。)しかし、足元のガソリン価格が下がらないのは備蓄が減っていることと日本の場合は大きく円安に振れた為替がその原油価格の下落を帳消しにしていると言えます。(日本は補助金が出ているのでリアルの価格が分かりにくくなっています。)韓国が利上げを継続していますが、その理由の一つは資源価格の高騰と為替のダブルパンチに対応するためとしており、日銀の放置プレーはますます支持されにくくなってくるかと思います。
そのような中、数週間前の酷暑の際の電力危機、プーチン大統領によるサハリン2のロシア企業への移管とそれに伴うLNGの日本への輸出が止まる懸念が生じました。さらには日本への資源供給の観点ではあまり影響はないもののサハリン1も同様の「没収」が取りざたされていることからエネルギー対策は喫緊の課題でした。あまりニュースにはなっていませんが、13日にクワッドのエネルギー大臣会議がオーストラリアで初めて開催されたのですが、参加した萩生田光一経済産業相の目的はむしろ、アメリカとオーストラリアにLNGの供給を増やしてほしいという懇願でありました。日本政府の危機感はそれほど高まっているということです。
今般、岸田首相が今年の冬のエネルギー対策として原発9基の稼働を指示しました。現在5基動いているので4基を追加で動かすということです。そのリストは現在稼働中が関電3号機、四国電力伊予3号機、九州電力玄海4号機、九州電力川内1、2号機の5基です。再稼働見込みの4基は朝日新聞によれば関西電力管轄の大飯4号機、美浜3号機、高浜3、4号機ではないかとみられています。このリストを見てお分かりの通り、今夏電力が危機的状況に陥った東京をカバーする東電や名古屋地区をカバーする中部電力が入っていません。(つづく)
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