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2022-07-14 00:00
(連載2)親露姿勢をアピールする中国の狙い
宇田川 敬介
作家・ジャーナリスト
日本のメディアはNHKを含めて、ふだん「三戦」「超限戦」などいって、中国やロシアの戦争がハイブリット化していることを報じている。ところが、なぜかロシアによるウクライナ侵攻においては、この経済制裁やサイバー攻撃を全く「戦争」ととらえていない。これも日本のマスコミが、概念や知識としてのこれ等の現象と現在進行系で起きるその事象を結び付けられていないことに問題がある。戦争ではなく「犯罪」とか「貿易経済行為」というような感覚でしかとらえていないのである。その為に、現在にいたっても、中国への投資やロシアとの経済協力(地下資源を含めるもの)を肯定的に報じたり、またはそのような企業を紹介し、ウクライナの件を掘り返さないなどのちぐはぐな企業活動になってしまうのである。しかし、中国やロシアとの貿易や投資によって生じた利益の一部がそのままロシアにわたりウクライナを攻め立てる軍費になることを忘れてはいけない。戦禍で荒廃したウクライナを復興するために日本は多くの資金を援助することになるであろうし、戦災で苦しむウクライナの人々が日本に避難してきてそれを日本人の税金で養うということにもなるのであるから、それはまさに「マッチ・ポンプ」であるが、そのことが指摘されることはない。
さて、その中国がロシアを支持すると言い始めたのは、なぜだろうか。このウクライナ戦争が始まったあとも、しばらくは中国は静観しロシアにそれほど親しくは振る舞わなかった。それが、ある程度思い切った発信をするようになったのは、ロシアという後ろ盾を欲しがったためといえよう。つまり、台湾を攻略するにあたって背後を衝かれないようにするためにはロシアが後方を固めることが重要であったからに他ならない。その為に、今回もロシアを支持し援助するというシグナルを送ったのである。
逆に言えば、ロシアの支持と連携性をアピールしなければならないほど、中国共産党内において台湾侵攻に対する反対があるということであろう。わたしは、今年の国慶節明けが一つの分岐点であり、遅くとも2024年の習近平国家主席の三選目が決まるまで、つまり2024年の北戴河会議(8月初旬か)までに、両岸関係にある程度のめどをつけると予想される。その時にロシアに支持させる上で、今のうちに「貸し」を作るのは筋の通った考えであろう。そのように考えれば「ウクライナを犠牲にして、台湾を得る」のは不思議ではないということになる。もちろん中国共産党からすればウクライナが犠牲になったところで問題ではない。
活発な中露に翻弄され手をこまねいてばかりのバイデン大統領に日本の安全保障を任せられるのか。また、米国がこの物価高騰を招いた世界規模の問題を解決するべくどのようにリーダーシップを取るのかも全く見えない。そうしている間にも権威主義的な国々は連携を強めている。そして、民主主義の信頼が損なわれるということになるのではないか。日本は、このようなときに何をやっているのであろうか。(おわり)
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