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2022-07-13 00:00
(連載1)親露姿勢をアピールする中国の狙い
宇田川 敬介
作家・ジャーナリスト
ロシアによるウクライナ侵攻を受け、ロシアに対する経済制裁などはこれ以上ないレベルにまで厳しくなっている。他方で、ロシアが国際社会から孤立しているようにみえて、実のところ、中国を中心にこれを陰に陽に支援しているプレイヤーがいるために、米国などから大量輸血を受けながら抗戦するウクライナも圧倒的な軍事力をもっているはずのロシアも決定打が出ず戦いはいつまでたっても終わらない。両国を巡る支援や制裁によって紛争当事国ではない国々の間でも疲れが見え始め、徐々に国際的な感覚としては「厭戦気分」が出てきてしまっている。
さて、ウクライナが滅びてしまうような敗北をしたならば、国際的には「NATOの敗北」さらには「民主主義国家の敗北」という見方がされるのではないか。ウクライナの現体制が崩壊するならばそれば加盟しようとしてきたウクライナをNATOが見捨てたことを意味しており、今後NATOに加盟しようとする中小国は、それを口実に大国に攻められ滅びるリスクを負うことになるからである。今後大国ににらまれて、なおかつ軍事同盟に入っていない国々は、そのまま民主主義陣営に加われないまま見捨てられて滅びてしまう。そうなればだれも民主主義陣営に入らなくなってしまう。これは「民主主義の敗北」ということに他ならない。そのため、民主主義陣営は、国際社会に誤ったメッセージを送らないように気をつけた振る舞いをしている。ロシアへの依存度が高いドイツを含め、フランス、イギリスと欧州のリーダーたちは、対ロシアのアピールとして様々な、ときに過激なパフォーマンスをしている。ジョンソン首相がキエフに入りゼレンスキー大統領と会談していた時に、付き人はずっと「核のボタン」を持っていた。アメリカのようなアタッシュケース型ではなく、普段は持ち運ぶようなことがないのか、ズタ袋のような入れ物に入っていて、かなり重たいのか、へばっていたのが印象的である。逆に言えば、わざとそのようなパフォーマンスを発信していたということになり、かなりのプレッシャーをロシアに与えていたのではないか。しかし、そのようなプレッシャーを掛けるしかロシアに対する方策はないとも言える。それ以上のカードは切れないのだ。
経済制裁は、遅効性で効果が比較的小さいだけではなく、経済制裁に参加しない経済大国がいる場合には制裁を受けている国の方針転換が見込めない。また、当然に経済制裁はする側にも輸出入の規制によって損害が出る。経済制裁を受けている国や経済制裁に参加しない国が非代替性の基幹産業や国際市場で支配的な産業部分をにぎってしまっていれば、「制裁をした側が苦しくなる」という状況になってしまう。今の日本やアメリカの物価高はまさにそれによって引き起こされている。「ウクライナを助けるための生活苦を我慢できるか」という試練を民主主義陣営の市民は受けているのである。
さて、この状態を生み出しているのが中国である。中国は、当然に対露制裁でアメリカに反発している。先日のBRICsの会議において、改めて中国はロシアよりの立場を表明した。このメッセージは、極言すればウクライナに対して「諦めろ」といっているのと同じである。(つづく)
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