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2022-07-06 00:00
(連載1)外交好きの岸田首相と国民の距離感
岡本 裕明
海外事業経営者
私はこのところ、ある確信があります。それは日本が外交的にキーになれる立場にある、ということです。消去法的帰着のみではなく、西側諸国や東南アジア諸国にとって岸田首相が良い意味でも悪い意味でも与しやすい相手なのだとみています。
秋の中間選挙でバイデン大統領はレームダック化する予想となっています。しかし、まだ確定的でもないと思っています。なぜなら共和党もそこまで勢力が強い気がしないし、妊娠中絶権の判断を最高裁が覆したことで別の切り口で二分化してしまうからです。世論が割れるのは民主主義の国ではほぼ同じ兆候ですが、共和党も一枚岩とは言い切れず、アメリカの民意の行方は更に混沌とするとみています。これは国民一人ひとりの芽ばえであり、マイノリティの声がSNSに乗って強く支持され、そのような声に反対のボイスを出しにくい社会が生まれていることもあるかもしれません。今や、LGBTQについて「反対だ」と声を上げれば相当のバッシングを食らうでしょう。「SDGsは無意味、温暖化問題はもっと違うところに理由がある」と声を上げれば「ではお主の考えを述べよ」と言われ、それで世論の賛同を得るのは厳しいところです。これらは企業がコーポレートガバナンスやコンプライアンスを声高に主張し、社会と企業の共生という発想が広まったことも影響しています。「何か良いこと」をするのに人々が価値観を見出しているともいえます。皆さんが「カラダにいいことを何かしらしている」というのも本質的には同じです。
その一方で「世の中の主流のボイス」によって民主的決定を強要されていると感じている人、今の状況を我慢している人は相当いるでしょう。今の民主主義は必ずしももろ手を挙げられるものでもありません。が、今の社会において全ての人を100%満たすことは不可能なわけで、少なくとも「選択肢の自由」は現時点でこれに勝るものはないのでしょう。つまり民主主義社会において世の流れにNOと言いにくい社会が出来てきた、そして選択の自由が狭められたというのが私が強く感じるところです。そしてこの世の中の流れの中で日本の世論と岸田首相のパーソナリティの組み合わせが見事にマッチしているのです。岸田首相の支持率が想定以上に高いのは一旦自己主張をしても民意のリアクションに注意深く耳を傾け、微調整をすることでウィンウィンの結果を作り出しているからです。私が就任前から「岸田さんは長くなる」と申し上げたのは今の日本の社会の声をうまく反映することができる最適任者であるからです。岸田首相はそんな国内からの支持だけではなく、海外の指導者からも一定の評価が生まれつつあるように見えます。ただ、それは岸田首相の性格だけではないでしょう。地政学と政治力学がそうさせるのだとみています。
今回の欧州全体を巻き込んだロシア問題の最中、欧州が世界をリードできる状況にはありません。基本は欧州体制の守勢と内部強化です。EU離脱をした英国は独立独歩のスタンス、フランスのマクロン大統領は本来であれば欧州大陸のリーダーシップをとるべきですが、支持不支持が完全に分かれ、一枚岩になれません。ドイツのショルツ首相は対ウクライナ政策で当初躓き、その後もかじ取りが安定しているようには見えません。(つづく)
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