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2022-06-25 00:00
(連載2)NPT再検討会議が人類の未来を変えるか
倉西 雅子
政治学者
同改正が効力を生じるには、その後、同会議において全ての締約国の過半数の賛成票を得、かつ、改正の批准書の寄託を要するのですが、過半数の賛成票には、核保有国等の票が含まれなければならず(安保理常任理事国の拒否権と同様…)、同改正が成立する見込みは薄いと言わざるを得ません。しかも、条約の具体的改正案は、非核保有国に核保有を認めるものという、いわば自己否定の内容となりますので、この方法は非現実的であるかもしれません。
そして、NPTそのものを終了、あるいは、運用を停止させるのが、第3の選択肢です。同選択肢については、条約に関する国際法とでも称すべき「条約法に関するウィーン条約」では、条約の終了・運用停止に関する正当な根拠について記しています。この正当な根拠とは、条約違反の結果、後発的履行不能、事情の根本的変化などです。これらの基準に照らせば、ウクライナ危機のみならず、核保有国である中国による核の威嚇と核戦力の急速な増強、並びに、北朝鮮やイランによる核保有・開発という事態の発生も、条約の終了・運用停止を可能とする国際法上の正当な根拠となりましょう(この他にも、非締約国であるイスラエル、インド、パキスタンによる核保有も問題視し得る…)。
最も簡易な手段は第一に述べた締約諸国による集団脱退なのでしょうが、何れにしても、NPT体制を見直さないことには、不条理な現状、並びに、人類に迫りくる危機から脱することはできないように思えます。ローマ法王が述べるように既に三次元戦争としての’三つ目の世界戦争’が始まっているならば、NPTの再検討会議こそ戦場です。
このように考えますと、何れの締約国の政府であれ、NPTの再検討会議においては、最低限、非核保有国が強いられている理不尽な現状の改善を最重要議題として提起すべきなのではないでしょうか。国際社会において名誉の名に相応しい国家とは、核のリスクに晒され続けてきた不遇な中小国のために、核保有国からの有形無形の脅迫、あるいは、嫌がらせにも屈せず、世界を変える提案を行う勇気ある国家なのではないかと思うのです。願わくは、その国が、日本国であればよいのですが。(おわり)
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