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2007-08-25 00:00
東アジア共同体と台湾
井上和洋
大学院生
東アジア共同体をめぐる議論が盛んに行われており、「ASEAN+3」かそれともインド、オーストラリア、ニュージーランドを加えた「ASEAN+6」かといった論点も提起されていますが、そうした中で、インド、オーストラリア、ニュージーランドといった国々と比べて、明らかに地理的には東アジアに含まれているにもかかわらず、完全に無視されているのが台湾です。東アジアの地域統合は実態面での経済統合が先行する形で展開してきたと言われていますが、台湾はそうした実態面での経済統合で重要な役割を果たしており、決して無視できる存在ではありません。にもかかわらず、台湾はAPECへの参加が認められているだけで、それ以外の地域的枠組みへの参加は認められていません。
もちろん台湾をどのように扱うかは、中国にとって非常にセンシティブな問題ですので、簡単に解決策が見つけられる問題だとは思いません。しかし、だからと言って、東アジアにおけるFTA/EPAの枠組みを考える時に、世界的なIT生産基地でもある台湾を除外することは、経済規模や貿易・投資面の結びつきからして、大きな歪みをもたらしかねません。また、最近では、東アジアにおける地域協力の課題として感染症対策などが挙げられるようになっていますが、実効性のある対策を講じるためには、いくら政治的にセンシティブであっても、明らかに域内に存在する台湾も含めて考えていく必要があると思います。
我が国の周辺地域では北朝鮮問題ばかりに注目が集まっていますが、台湾問題もきわめて重要な問題です。とくに来年には総統選挙が予定されており、結果次第では緊張が高まるのではないかという懸念も示されています。こうした時にこそ、改めて台湾問題についての認識を深めるとともに、我が国として望ましいと考える東アジア共同体構想の中で台湾をどのように位置づけるのかという議論を行っていく必要があるのではないでしょうか。
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