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2022-06-16 00:00
(連載2)国連人権高等弁務官のウイグル視察に思う
宇田川 敬介
作家・ジャーナリスト
中国がどのように自国の人権状況に対する批判に対抗するのかという疑問に対する一つの答えが最近、示された。すなわち、「個人的な買収」による世論工作というアプローチである。2022年5月28日の産経新聞の報道によると、中国政府は、人権侵害が懸念されている新疆ウイグル自治区の視察を目的としてバチェレ国連人権高等弁務官を迎えた。バチェレ氏によると「目的は双方の交流と協力の促進」で、中国側の意向に沿う形で視察が行われたとみられる。
たとえば、現代にナチスドイツがあったとして、そのナチスドイツの手引きによって国連の人権高等弁務官がドイツ国内に人権の話をしに行ったとして、人権に対する疑念が払拭されたとする人がどれくらいいるであろうか。つまり、中国側の意向に沿って調査をするなどということはあまりに不公正というのが普通の考え方であり、この国連の弁務官の意図は理解しづらい。少なくとも、踏み込んだ成果を得るという目的はなかったであろう。もっと不躾にいえば「中国に買収されに行った」という疑われても仕方がない。
もちろん筆者も国連が「弱者の味方である」というような幻想を抱いているわけではない。国連は、国家の集合体として動いているのであり、有力な国に従う形でしか存続ができない。人権委員会は、先日ロシアを理事国から排除してしまっていることから、有力国が一つなくなり、機能を損ないつつある状態である。そのうえで、中国を敵に回して大丈夫かという懸念は確かにそのとおりである。理想論だけでは物事は進まないのは確かで、中国との間で取り組みを積み上げることが次に繋がるということもあるだろう。
しかし、だからといって、「中国政府と協力を確認する」などといって虐げている人々と連携をするなどということがウイグルの人々のためになるのかという疑問は持つべきであろう。コロナウイルスの時も、当初、WHOが調査に行ったが中国と共に行ったことによって、その原因の追及は全くできなかったことは、記憶に新しい。結局、現在でも目ぼしい成果はなく、テドロス事務局長の解任を求める署名が世界中から集まった。今度は国連が同じように信用を失うのであろうか。その瀬戸際にあることを国連自身が自覚すべき時ではないのか。(おわり)
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