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2022-06-14 00:00
(連載1)「骨太の方針」で「野放図な財政」明確に
中村 仁
元全国紙記者
政府は経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)と、「新しい資本主義」の実行計画を閣議決定しました。「骨太」とはよくいったもので、その中身に対しては「野放図な財政支出」(読売新聞社説)、「歳出拡大の圧力が増大」(日経社説」の悪評が聞こえてきます。中央銀行が独立性を失い、財政と一体化してしまいました。主だった国ならどこでも設けている独立財政機関が日本にだけありません。設けようという動きもありません。日本の常識は世界の非常識なのです。
「骨太の方針」のタイトルには「改革」の一文字がついています。財政状態を「改革」するのかというとそうではない。低迷する経済、景気情勢を「改革」するとのが先というのが本意で、そのためには財政に犠牲を強いる。財政状態は二の次という位置づけです。財源には無頓着です。私は
「効果が分からない出費が急増する日本の財政」
(2022年6月8日、e-論壇「議論百出」)で書きましたが、「必要なカネは惜しまずに出す」が政治に浸透した原則になってしまい、主要国最悪の財政状態はおかまいなしです。円安は1㌦=135円を目指す展開です。円安と資源高が物価を押し上げているのに、日銀総裁は「家計の値上げ許容度も高まっている」と発言し、猛反発を受けて陳謝、撤回する光景にはあきれ果てます。「財政を支えるのが先なので、金利を引き上げられない」とでも正直にいったらよかった。
「骨太の方針」には、カネのかかる話がこれでもかこれでもかと、書き連ねてあります。「必要なカネ」が多いことは確かです。その「必要なカネ」は、財源の手当てのめどをつけることが前提であるはずなのに、経済成長を実現すれば財政は改善するという甘い見通しに依拠している。「2050年の脱炭素化実現に向け、今後10年間で150兆円の官民の投資を先導するため、十分な規模の政府資金をGX経済移行債で調達する」とあります。いわゆる「グリーンボンド」(国債)です。本来なら高率の炭素税が必要なのに、エネルギー価格が高騰しているため、先送りということです。
また、「国家安全保障戦略の検討を加速し、防衛力を5年以内に抜本的に強化する」とあります。現在5兆円の防衛予算を10兆円にする意向です。消費税2%程度の引き上げが必要な規模です。これから2%のインフレが来るという時に、消費税のことは政治的に触れられないということです。(つづく)
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