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2022-06-10 00:00
半導体と日米台連携について
真田 幸光
大学教員
台湾の半導体メーカーが米国と日本で相次いで工場新設計画を明らかにしていることはご高尚の通りです。米中間で、情報覇権争いが激しくなる中、「ハードの情報覇権争いである宇宙開発」と共に、「ソフトの情報覇権争いである半導体産業の開発」が注目される中、米国は、世界の中核となる半導体事業を米国と同盟国たる日本に引き寄せ、勢力強化に動き始め、こうした流れが冒頭に示した、「台湾の半導体メーカーが米国と日本で相次いで工場新設計画を明らかにしている。」ということに繋がっていると私は認識しています。
そして、半導体素材・設備で最強の存在である米日がファウンドリー(受託生産)で最強の台湾にラブコールを送っているという見方が出来ましょう。台湾も、中国本土の脅威を意識しながら、半導体産業の競争力強化のみならず、経済安全保障を強固にする強力な、日米台による、「半導体三国同盟」の構築に乗り出しているとも見られます。
こうした中、TSMCは熊本県で9,800億円を投じる半導体工場の建設に着手しました。日本政府が投資資金の半分近い4,000億円を補助金として支援することも伝えられ、日本政府もこうした流れをサポートしていることは間違いありません。日本の国会は昨年12月、先端半導体工場の新設・増設の際、費用の半分を支援できるよう法改正を行い、その株主構成を見ると、米国企業となっているとも言えるソニーと電装品の世界的メーカーであるデンソーも出資し、2024年から必要な半導体の安定供給を受けることにしています。
日本政府は今、「経済安保」を最大のテーマの一つとし、供給難が深刻な半導体自立の為、TSMCの誘致を推進したとしていますが、私の聞くところでは、上述した情報覇権争いの中で、米国政府が日本政府に対して圧力も掛け、日米台半導体連携を積極的に構築したという背景もあったようです。更に、台湾3位のファウンドリーであるレン華電子(UMC)も三重県の工場にデンソーと協業して、電力を制御するパワー半導体の生産ラインを新設すると発表しています。UMCはデンソーが設計したパワー半導体の量産を来年から開始し、2025年までに12インチウエハーを月産1万枚生産するとしています。この投資額は公表されていませんが、日本経済新聞によれば、UMCも日本の経済産業省から補助金を受け取るようですよね。こうした情報覇権争いを巡る動きは日米台を軸に更に強まる可能性があり、注目したいと思います。
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