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2022-06-08 00:00
(連載2)ロシア国債デフォルトは朗報なのか
倉西 雅子
政治学者
さらに、ロシア国債のデフォルトは、危機以前から’デフォルト危惧国’であったウクライナの財政リスクをも再燃させるかもしれません。ウクライナもまた、戦費調達のために高利率の国債を発行しています。ウクライナには、アメリカをはじめとして自由主義国が財政支援を行っていますが、各国とも厳しい財政事情がありますので、無制限というわけにはいきません。
ウクライナは、戦後にあってロシアに対して巨額の賠償請求を行い、これを以って支払いに充てようと考えているのかもしれませんが、ロシアが素直に支払いに応じるとは思えませんし、天文学的な賠償金額がロシアを核使用に追いつめるリスクもありましょう。言い換えますと、今後は、ウクライナ国債のデフォルトリスクも考慮する必要があり、両国間の戦闘が長引くほど、国際金融、並びに、各国財政も不安定化し、ロシアの核使用のリスクも高まることが予測されるのです。
もう一つ、考慮すべき点があるとすれば、ナポレオン戦争では、イギリスの戦時国債を大量に購入していたロスチャイルド家が情報操作により巨額の利益を上げたことで知られていますが、ウクライナ戦争が、特定の主体にとりましては絶好の収益拡大のチャンスとなっている可能性です。例えば、アメリカでは、FRBが金融引き締めに躍起になっている一方で、ウクライナ支援という札が付けば莫大な予算が付き、米国企業の大量の物資が戦地に注ぎ込まれています。仮にこうした勢力がウクライナ問題を利用しているとしますと、最後に笑うのは誰であるのかは分からないのです。
ロシアは、自国産のエネルギー資源の輸入国に対しては、通貨であるルーブル建ての決済を求めており、米ドル決済網に頼らない体制の構築を急いでいます。また、対ロ制裁についても抜け道があり、石油等のロシア産資源が高値で闇取引されているとする指摘もあります。石油産出国であるロシアは、少なくとも戦略物資には困らない立場にあるのですから、ロシア国債のデフォルトについては、より慎重な分析と評価を要するのではないかと思うのです。(おわり)
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