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2022-05-18 00:00
(連載2)乖離する日米の金融政策、日銀の本音の解明が必要
中村 仁
元全国紙記者
政府、日銀がどうすべきなのか、メディアはっきりいわない。ウクライナを侵略したロシアに対しては、「追悼と和解の日に泥を塗ったプーチン演説(対独戦勝記念日)」などと主張は明瞭です。新聞を含む日本のメディアは、政権、政策当局が絡む問題になると、途端に腰が引けてしまう。他国に対してものをいうことより、自国の政権、政策当局に対してはっきりした主張を展開することのほうがずっと重要なのです。それをしないから新聞が期待外れの存在となり、新聞離れの一因となっている。
安倍元首相が「日銀は政府の子会社だ。日銀が保有する国債の満期がきたら、返さないで借り換えて構わない」(9日)という乱暴な主張を語りました。直ちに強い批判をすべきなのに反応は鈍い。これは、大企業の資金繰りが苦しくなり、売れ残っている製品、資産を子会社に売り飛ばすのと似ています。親会社の決算の見てくれはよくなっても、グループ全体を統合してみると、経営は改善していない。粉飾決算まがいの行為です。
「政府、日銀統合政府」論は安倍氏が依拠する理論で、事実上の日銀引き受けにより国債発行に歯止めがかからなくなった。統合政府論を自分の都合のいいように使っているのです。安倍氏の発言は失言ではなく、本音でしょう。そうした考え方で異次元金融緩和と巨大な財政膨張策が始まり、10年近くなる。黒田総裁も任期が5年のところを異例の再任となり、日本の財政、金融は泥沼から足を抜けなくなってしまった。
長期にわたるゼロ金利政策で産業、企業の足腰が弱り、市場メカニズムも働かなくなってしまったのです。異次元金融緩和と一体になった財政膨張策という「背伸びした竹馬」に乗っているうちに、竹馬の足を切ると、ひっくり返る。それが実態でしょう。今、必要なのは「竹馬の足」の足を切り、自らの足で歩かせる。相当な犠牲、リスクがあっても、そう決断する時が来ているのでしょう。経済紙の日経は「腰を据えた対応を」というのなら、こうした指摘をすべきなのです。(おわり)
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