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2022-05-09 00:00
(連載1)日本はロシア産原油やLNGの取引を止めるべきなのか
岡本 裕明
海外事業経営者
日本はロシアとの共同事業として樺太の北部でサハリン1の原油事業とサハリン2というLNGの事業を展開しています。樺太北部から南端までパイプラインが敷設され、そこから日本をはじめ、東アジアに輸出されるという仕組みです。このサハリン事業をめぐり、欧米がロシアとの取引停止を次々と打ち出す中、日本はどうすべきなのか、という議論はが、存在します。これは非常に繊細な議論を要すると考えています。
サハリン1の原油事業は主にエクソン30%、日本30%、インド20%、ロシア20%の持ち分で展開しています。うち、事業を主導しているエクソンが撤退表明をしており、1-3月期決算で4400億円規模の損失計上をしたと報じられています。但し、インターファックスの報道によれば同社が主導する事業だけに同社なしでは安全や管理上の問題があるので引き続きその点は関与するとしています。同社の持つ権益を欲しい人はいくらでもいるでしょうが、現場実務に長けた会社となると候補は少ないでしょう。日本の持ち分30%の権益は5割を経済産業省が、残りを民間企業4社(商社は伊藤忠と丸紅)が持っています。
サハリン2のLNG事業はロシアが50%プラス1株、つまり過半数を持ち、残りをシェル、三菱商事、三井物産が所有しますが、シェルも撤退表明をしています。シェルは既に中国国営企業の中国海洋石油集団、中国石油天然気集団、中国石油化工(シノペック)と初期交渉ステージにあるとされます。日本への輸出という観点からするとサハリン1の原油は中国と韓国向けが主流で、日本への恩恵はどちらかと言えばサハリン2のLNGであります。ビジネスベースで日本がサハリン2から簡単に撤退できないとする理由は多くの日本企業がサハリン2のLNGと長期契約を結んでいるからで安く安定した供給を受けられるからです。例えば最新号の日経ビジネスに東京ガス社長のインタビュー記事がありますが、その一節にはこうあります。
「経営者としては、ロシアへの制裁目的でサハリン2からLNG調達をやめるなんて簡単には言えません。LNGの長期契約には一般的に『テーク・オア・ペイ条項』が盛り込まれているからです。長期契約したからには、LNGを一定量引き取る義務があります。買い手の都合で引き取らない場合は、その分を金銭で支払うことが求められます。もしサハリン2からの調達を一方的にやめてしまったら、日本のエネルギー会社はバタバタと倒れるでしょうね」と。(つづく)
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