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2022-04-27 00:00
(連載2)マクロン氏再選と欧州の行方
岡本 裕明
海外事業経営者
欧州の場合、英国が明らかに別枠的な存在になりつつあり、欧州本土が一団とならねばいけないのですが、私にはここが弱く見えます。確かに今はウクライナ問題という共通課題がありますので動きやすいもののこれが停戦などを通じて一段落したのちに各国の体制、経済政策、移民/難民問題、安全保障が同じ方向で調整できるのか、疑問点はあります。なぜならば、そもそもSNSを介して社会がバラバラになっている中で欧州は宗教と人種を背景にした極めて複雑な社会を構築しているからです。個人的には欧州にある国家以上に社会は細分化されており、右派、左派のみならず、カトリック、プロテスタント、ユダヤ、そして台頭が目立つイスラムが国家を分断する危機にあるとみています。
ルペン氏が何度も大統領選に挑戦する社会体制も日本には珍しい形態だと思います。大統領選に落選すれば後進に道を譲る発想もありそうですが、ルペン氏はますます血気盛んになって次回こそ、という意気込みとその支持層の拡大を確実に見て取っています。
フランスの最大の弱点は資源ですが、フランスは世界最大の原発大国であり、マクロン氏が更に6基の原発を建設することを2月に打ち出しています。ドイツのエネルギー源が少なくなっていく中でフランスの電源に依存する体質は今後は更に進むわけで原発を売る国家としてより明白な指針を打ち出していくでしょう。
最後にマクロン氏とバイデン氏の関係ですが、表立っては反りの合わない感じはあまりないのですが、個人的には性格が合わないのではないかという気がしています。唯一、マクロン氏が表立って怒りを示したのがオーストラリアの原子力潜水艦の一件です。この時はバイデン氏が不器用だったと下手に出ています。今後、ウクライナ援護をめぐり、アメリカが直接的にウクライナとディールする可能性があり、これは自分のおひざ元を通り越しているという心地よくない事態が発生するかもしれません。特にこの週末、アメリカの国務長官と国防長官がそろってキーウ入りし、ゼレンスキー氏と会談をしていることなどは当然欧州の頭越しという印象があると思います。フランスが選挙中で動けないこの時期を見計らったようにも感じるわけでバイデン氏が繊細に気を回せるかが今後、フランスとの関係の維持には欠かせないポイントとなりそうです。(おわり)
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