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2022-04-21 00:00
(連載1)パキスタン首相の失職と日本の政情
宇田川 敬介
作家・ジャーナリスト
最近、ウクライナ情勢のニュースばかりで、日本の政治に関しては報道が手薄な日が続いている。日本のメディアというのは、砂糖水にたまる蟻のように、どのメディアも同じ方向にしか向かないし、その切り口もほぼ同じだ。例えば、そのウクライナのニュースとして取り上げられるのは、ウクライナとロシアの戦いがどう推移しているのかという戦況分析とそれに伴う主要国のリーダーたちの動静に偏りがちだ。
だが、ウクライナ情勢に関して、「どのような影響が日本の政治経済にあるのか」ということこそをしっかりと見てゆかなければならない。だが、残念ながらそういう内容に関しては、報道が乏しい。なぜそういうことが重要なのかは他国の例がよく示している。たとえば、レバノン・チリ・南アフリカなどで、小麦の値上がりから国民的なデモが始まっており、政権が外出禁止令を出すほどになっていることなど、知らない人が多いのではないか。それはなぜかあまり報じられていないからである。そのような他国の政情不安に、日本は全く関係ないというようなことをマスコミは思っているのであろうか。
ある国の経済が今回のウクライナ情勢によって悪化する。それは多くの国にとって対岸の火事ではない。パキスタンでは首相が失職するということになっているのである。2022年04月10日の時事通信の報道によると、「パキスタン下院は10日、野党が提出したカーン首相の不信任決議案を賛成多数で可決し、カーン氏は即時失職した。経済危機などを背景に、与党連合からも賛成する議員が相次いだ。首相不信任案の可決はパキスタン史上初」ということだ。カーン首相は、もともとクリケットの名選手で、その人が経済復興を掲げて首相になったのだが、その経済政策がうまくゆかなかったばかりか、ウクライナ侵攻でロシアのプーチン大統領と会談を行ってエールを送るなど、なかなか国民感情とは異なる判断をしてしまって、議会の不信を買い、不信任で失職するということになってしまった。
パキスタンは、伝統的に中国との連携やロシアとの連携を重視してきたが、今回のロシアのウクライナ侵攻の件では、宿敵のインドも同じロシア側に立っている部分が強い。本来であれば、しっかりと国際舞台でも中立にたたなければならないが、初めにロシア寄りにしてしまうという読み違いで国際世論の批判にさらされて、逆に舵をきらなければならなくなった。(つづく)
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