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2022-04-20 00:00
(連載2)ロシア専門家のウクライナ問題予測を振り返る
中村 仁
元全国紙記者
「ウクライナの政権に過剰な支援を行わないことが安定した日露関係を維持し、北方領土交渉の環境を整備する上で、死活的に重要になってくる」とも。敵対関係に陥っても、相手国とのパイプを持つ人物の存在が必要であるにしても、文筆活動でこうまで公言したことの総括が必要です。日本は欧米民主主義国と結束して、大規模な対ロ経済制裁を実施しています。
ウクライナ侵略でしばしば言及されるのが「新ユーラシア主義」です。ロシア文学者の亀山郁夫氏は「ソ連崩壊によって共産主義という大義が失われた後、プーチン氏が新たな国家的アイデンティティーのよりどころにしたのは新ユーラシア主義だ」(2/26 、読売新聞)と指摘しました。「ロシアを中心とした文明圏の再構築を企図するこの立場では、旧ソ連圏に属していたロシアとウクライナは不可分の兄弟国で、ウクライナのNATO加盟は絶対に認められないという結論になる」とも。
問題はプーチンがそう考えても、ウクライナの国民がどう考えるかでしょう。また、プーチンの大義がそうだとしても、それを実現する手段の問題があります。「大義と手段」「目的と手段」の関係です。都市を廃墟にし、住民を虐殺までするというのは「目的のためには手段を選ばず」の類です。大義に言及するのなら、手段の残虐性を同時に考える必要がある。
ネット論壇では、元大阪府知事、テレビタレントの橋下徹氏が「政治家同士が殺し合いをしたらよい。国民は関係ない」、「ウクライナに降伏を勧める」といった類の発言をして、炎上しています。この人物はロシアやウクライナの専門家でもない。ネットで騒がれることを目的として、感情的な発言を乱発しています。橋下批判をすると同時に、ロシア専門家がどのような主張をしてきたかを振り返ることが有意義です。(おわり)
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