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2022-03-25 00:00
(連載2)日本国政府は正攻法で-NPT体制の見直し問題
倉西 雅子
政治学者
かつて、アメリカのもならずイギリス、フランスも参加する形でアジア版NATOとも称されたSEATOも設立されていましたが(ただし、アジアの加盟国はタイ、フィリピン、パキスタンのみであり、1977年に解散…)、今日にあって、中小国の大半は、核を含む中国の圧倒的な軍事力という現実的な脅威に晒されています。
仮に、中国が、ロシアと同様に核の威嚇を以って周辺諸国に対して軍事侵攻を行う、あるいは、自国への服従を求めた場合、これらの諸国は中国に対抗するだけの戦力は持ち得ないこととなります。軍事力がモノを言う時代に逆戻りするとなりますと、一帯一路構想といった経済力による広域中華圏の形成を待つまでもなく、中華帝国の復興を目指す中国は、軍事力で周辺諸国を囲い込むかもしれません。
日本国の場合、自衛隊の実力は世界軍事力ランキングにおいて十指に入るとされていますし、一先ずはアメリカから’核の傘’の提供も受けています(もっとも、不確実性が高いのですが…)。このため、日本国の非核三原則も、核の傘による抑止力の効果を前提としていると言わざるを得ないのですが、今日、全世界の多くの中小国が核に対しては無防備な状況にあり、核保有国との軍事力の格差は広がるばかりです。日本国を含めた全ての諸国の安全を守り得る国際秩序の構築という観点からしますと、日本国政府の拒絶的な反応は、状況の変化に対応しようとしない思考停止状態のようにも思えます。
国際社会の現実を見ますと、インドやパキスタンのみならず、イスラエル、さらには、北朝鮮までもが核を保有し、軍事大国でもある核保有国による核攻撃の可能性も現実味を帯びています。政治には常に現状の的確な把握、並びに、変化への柔軟な対応を求められる以上、日本国政府は、国内にあっては現実的な議論を促すと共に、正攻法として、国際社会に対しても、国際レベルにおける構造的な安全保障の問題としてNPT体制の見直しを提起すべきではないでしょうか(本来、イランも北朝鮮も、国際社会の理解を得ようとするならば、NPT体制に内在する欠陥を説明した上でその見直しを提起し、国際的な合意による条約の改廃後に合法的な行為として核武装するのが筋であったといえましょう)。そしてそれは、核、否、NPT体制や核廃絶運動(核兵器禁止条約…)を自国の利益のために悪用しようとするロシアや中国といった核保有国に対する牽制の効果をも期待できるのではないかと思うのです。(おわり)
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