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2022-03-16 00:00
(連載1)ウクライナで中国は漁夫の利を得るか
岡本 裕明
海外事業経営者
テレビ番組で橋下徹氏と高市早苗氏氏が激論となったニュース。橋下氏が中国を取り込むべきという論に対して高市氏は西側主導の制裁は効いてくるはずだから中国への譲歩などいらない、という趣旨でした。橋下氏は番組終了後、「戦う一択の高市さんは国家指導者として危険だ」と評しました。この議論、私からするとどっちもどっちに聞こえます。橋下氏は今回の戦争では中国がキーになるから柔軟な姿勢と解決策を模索するようにという案でした。それに対して高市氏が欧米に同調する強硬路線を堅持した点で保守派は大喜びでしょう。しかし、我々はテレビ越しのバトル討論の賛否を論じるほど余裕はありません。より現実的でグローバルな観点を考える必要があるとみています。
この戦争がどんな形になろうとも、プーチン政権のロシアは西側諸国とつながるプラグをしばらく外されたままとなり、再びセットされるには時間がかかるでしょう。仮に現政権が完全に没落し、新しい国家として新生ロシアが生まれる場合、ロシアの経済的復興を図るため、GHQのような何らかの支援策も考えられますが、その場合、誰が支援に名乗りあげるかといえば、消去法で考えると中国しかいないのだろうとみています。経済的結びつきが強いのは中国と共にドイツがありますが、今のドイツはEUの枠組みもあり、簡単に一国で動きは取れません。また、ロシア国民1億4千万人の人口を支えるにはそれより人口も経済力もあることが重要であり、一般的には中国が主導すると考えるのが妥当ではないかとみています。
では中国は何をどうするだろうか、と考えた時、私が思い描いたのは国家による国家の実質的支配であります。もちろん国境が変わるというような大それた話ではなく、共同経済圏の創設であり、中国がロシア経済を保証するような形態が起こりうる可能性をイメージしています。
例えばロシアの通貨、ルーブルは残るのだろうか、という疑問があります。ロシア国債がデフォルトになり、ルーブルが通貨としての機能を失えば、たちどころにバックアップ通貨を引き当てる必要が生じます。その際、デジタル人民元が実用間近ならばそれを応用しながら新ルーブルを作り、元と新ルーブルをペッグ制にして通貨価値をピン止めする方法が考えられます。中国はロシアの金の14%を預かっているとされます。金額にして10兆円相当に当たります。もちろんこれぐらいでは国家の担保としては〇が4つか5つ足りませんが、そういう行動に転じられるのが中国である、ということです。(つづく)
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