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2022-03-11 00:00
(連載2)ウクライナ問題の行方
岡本 裕明
海外事業経営者
この戦争、誰と誰の戦いなのか、ご批判は覚悟のうえで敢えてわかりやすい例えを考えるなら、朝鮮半島の戦いに似たものを感じます。祖国統一という立場のプーチン氏とより自由と開かれた民主的社会を求めるゼレンスキー氏です。それぞれの国家のトップのイデオロギーのぶつかり合い、そしてブチ切れたプーチン氏の力による押さえつけがメインフレームです。ウクライナの大統領がゼレンスキー氏ではなく、もう少し政治力に長けた人なら違った展開もあったでしょう。が、国民が選んだトップです。それを言うのは禁則です。
プーチン氏の精神状態はおかしいのではないか、と報じられています。思想のベクトルは同じ方向なのですが、確かに急激に過激になり、おかしくなった気がします。が、誰も暴走するプーチン氏に逆らえない中、ロシアの地上軍が思った通りの戦果をあげないなら飛び道具を使ってでも明白な勝利を手にしたい気持ちは相当あるでしょう。それを押さえらえるのは誰か、といえばもはや、ロシアの現政権幹部か軍部かロシア国民しかいないのです。今、外国の特殊部隊がそれに介入することはできません。早晩、どういう形にしろ戦争行為は止まるでしょう。ロシア軍部が政権の言うことを聞かなくなるかもしれません。政権の転覆、軍部による革命すら否定できません。プーチン氏が政権の座に留まることは私はもはや100%ありえないとみています。(本人もわかっているはずだし、それが逆に一番恐ろしいクライマックスになるとも言えますが。)その時、世界は気づくことがあるはずです。長期政権の弊害です。
今、この戦争の行方を固唾を飲んで見守っている一人は習近平氏です。日経の編集員記事に「ロシア暴走、中国の誤算 『全面侵攻ない』と油断」とあります。私はこの内容は違うと思っています。中国は侵攻する確率はある程度見込んでいたはずです。が、ロシア軍が弱かったことに衝撃を受けているのだと思います。併せて国際社会の猛烈な制裁の連続を目のあたりにしました。一昨年、習氏は香港を舞台にした当事者でありました。今回、第三者として冷静に見て、世界を敵に回すしっぺ返しがどれだけ凄惨なものか、驚きをもって見ていることでしょう。私は台湾問題は当面消えるとみています。習氏に今、そんな度胸はないし、3期目の決定を約半年後に控える中、勝負が3日でつかない予期不能なチャレンジはできないということを悟ったからです。
今回の問題は国際社会、ひいては世界経済や社会秩序に大きな波紋となるでしょう。我々は、考え、反省し、そして正しい選択をする重要な機会を与えられたともいえるのでしょう。(おわり)
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