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2022-03-10 00:00
(連載1)ウクライナ問題の行方
岡本 裕明
海外事業経営者
ウクライナ問題を考える際にこれはいったい、誰と誰の争いなのか、そしてその被害者は誰なのかを考えていました。日本が先の大戦であれほどの戦争をしたのはなぜでしょうか。いろいろな視点はあります。日本がそもそも日露戦争で勝ち、交渉で負けたことで海外に対して強い不満を醸成したことは大きいでしょう。若い将校たちは限られた情報をもとにほぼ単一民族という特性の中、ベクトルがブレず、突き進みやすい背景がありました。それに乗じるように軍部に乗っ取られた政権と大本営による情報操作で国民は戦争に引き摺り込まれました。終戦を迎え、国民の戦意はまるで空気の抜けた風船のように一気に萎みます。GHQが恐る恐る日本に上陸しても敵方だったアメリカ兵を襲うこともなく拍子抜けだったという記録誌もありました。
国家を牛耳る政権トップとは会社で言うCEOです。国民一人ひとりでは当然情報量も作業量も声の大きさも限界があります。国家に背けば厳しい仕打ちが待っているならば反論する意思は起きにくくなります。国民が国家という会社勤めならば会社を辞め、違う会社(=国)に転勤すればよいのですが、国家で言う転勤、転籍とは難民や移民といった手段しかなく、限られた人と限られたチャンスしかありません。
私はこの侵略戦争の最大の被害者はウクライナの国民と共にロシアの善良な国民も含まれるべきなのだろうと考えています。国際社会はロシアをあらゆる方面で駆逐しようとしています。一方でロシア系の移民は世界中で広く活躍しています。アメリカ内だけでロシア系と称する人は300万人、カナダにも60万人以上いるとされます。今回の侵略はロシアという国家運営の責任者であるプーチン氏とその取り巻きや戦争の実行者であり、彼らを政権の席から引きずり下ろすことこそ国際社会が真に行わねばならないことです。そしてそのチャンスは遠からず、確実にやってくるとみています。
ロシアはこの戦争を1週間程度に収める必要がありました。それが可能だったならばプーチン氏が笑い、できなければウクライナがよく耐えたと称えられる、そんな争いです。双方とも地上軍の長期戦などできません。冒頭に日本の戦争のケースを書いた理由はそこにヒントがあります。かつては情報など誰も持っていなかったのです。嘘か本当かわからないほんの一握りの噂話を信じるしかなかったのです。しかし、今は情報はダダ洩れだし、情報を世界に向けて誰でも簡単に発信できるのです。とすれば戦争が膠着すれば戦意は落ち、戦略は見直さざるを得ないのは当たり前です。(つづく)
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