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2022-03-09 00:00
(連載2)侵略直前に載った駐ウクライナ日本大使の挨拶文についての私見
中村 仁
元全国紙記者
大使館は一斉に天皇祝賀の挨拶を掲載するというのが外務省の慣例で、挨拶文のひな形があるのでしょう。それにしても松田大使も肩書は「特命全権大使」で、政府から「全権」を与えられているはずですから、現地情勢に合わせて自分の判断力を働かせるべきでした。いきなり冒頭で、「皆さまとともに天皇誕生日をお祝いできる喜び」などと表明してはいけない。祝賀挨拶を掲載しないとか、せめて文末に添える程度にとどめるとかの気配りが必要でした。
この天皇誕生日の祝賀で思い出すのは、1996年12月、ペルーの日本大使館公邸がテロリストに占拠された事件です。恒例の天皇祝賀レセプションが公邸で開かれているのを狙われ、一時は600人が人質に取られ、解放されるまでに4か月かかりました。当時、首都リマでは日本企業、日本人を標的にしたテロリストの暗躍、出没が多発していたのですから、レセプションを見送るべきでした。それが外務省基準の慣例が優先され、前例踏襲のままやる。「特命全権大使」といいうのは、本当に名ばかりなのです。
昨年、米国はアフガニスタンからの米軍撤退を決めました。撤退が進むと、現地のイスラム主義勢力は勢いづき、危険を感じた各国は夏ころから自国民、企業の退避を始めました。準備不足の日本は立ち遅れ、JICA(国際協力機構)事務所のアフガン人の現地職員・関係者らが現地に取り残されました。現地大使、大使館員らはタリバンのカブール占拠の前に、早々に海外に退避してしまいました。重大な責任放棄です。現地大使、外務省、自衛隊の対応のまずさがはっきりしました。それにもかかわらず、撤退失敗の事後検証の報告書も公表されていません。
日本の駐在大使らは獅子奮迅の活躍すべき時に、まともな判断能力を発揮しない。ウクライナといい、アフガンといい、ペルーといい、外務省、現地大使の対応に失望せざるを得ないのです。(おわり)
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