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2022-02-23 00:00
(連載2)ウラジーミル・プーチンという男
岡本 裕明
海外事業経営者
ではなぜ、今なのでしょうか?私はプーチン氏が「いくつもの偶然が重なった絶好機」と考えているとみています。まず、コロナで世界が十分にリンクしておらず、各国が国内政策に目が向いていること、中国が香港を取り込み、南沙諸島での紛争を仕掛けており、更に台湾を刺激していることで紛争ムードがあること、北朝鮮が独自の行動をとる中でロシアとは関係構築できることがあります。次に各国首脳を見るとバイデン氏がとにかく弱いこと、欧州首脳も選挙や新政権樹立直後という十分安定な状態にないこと、ベラルーシのルカシェンコ大統領とプーチン氏が蜜月であること、そして最後にウクライナのゼレンスキー大統領がNATO寄りでけんかを吹っ掛けてきたのはお前だ、という理由付けをしやすいことがあります。そして一番大事なのはウラジーミル・プーチンの功績を築き、偉大なるロシアを復活させるための自己アピールであります。
私はかなり前から戦争が起こるかもしれない、と申し上げてきました。多くの方は西側諸国の制裁を考えればそんなこと起きるはずがない、とご意見いただきました。プーチン氏はそもそも普通の考え方とは尺度が違います。敢えて言うなら金正恩氏と同じぐらい読めないのです。共通する野望は非常に似ており、チャンスがあれば絶対に取りに行くのです。ソ連時代を知っている人はお分かりだと思いますが、あの国は食べるものもろくになかったのです。私がモスクワやレニングラード(当時)に行った時も外国人や富裕層のためのダラーショップに行けばモノはありましたが、一般社会は配給でそれも少量、芋もパンも本当に手に入らない時代をずっと経験しています。その点では打たれ強さ、我慢強さはロシア人の民族特性として社会学でも出てくる特徴の一つです。
西側諸国が具体的にどのような経済制裁を企てているかわかりませんが、彼らは生き抜く力はあります。そしてオイルとガスという二つの資源は核弾頭以上の強い武器であるともいえるのです。プーチン氏が戦争のボタンを押すのかどうか、瀬戸際とされます。ウクライナと西側諸国がよほどロシアに有利な条件を出さない限りプーチン氏は攻めの手を緩めないとみています。しかし、戦争になってもこの勝負はそう簡単につかないかもしれません。それは戦場の実際の戦いより場外戦の規模がはるかに大きくなるからです。寝技ありのかなり複雑で予想がつかない展開になる気がしています。
私は、最後は中国がキーになると思っています。習近平氏が暗躍するのか、ヒーロー役を演じるかそのシナリオは誰もまだ考えていないはずです。そして習氏もまだ悩んでいるように見えます。(おわり)
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