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2022-02-22 00:00
(連載1)ウラジーミル・プーチンという男
岡本 裕明
海外事業経営者
ウラジーミル・プーチン、69歳、元KGB情報部員、1999年、46歳にて大統領、その後、ロシアの実質的権力者として君臨、今日に至ります。父は軍人、母は工場勤務の家庭に育ち、裕福とは言えないものの普通のくらしでした。兄弟は兄が2人いましたが、プーチンが生まれた時は既に亡くなっており、一人っ子のような育ち方をしています。幼少時代の性格は頑固、勤勉、記憶力はよいが、悪ガキであったようです。映画をみてスパイに憧れ14歳の時にはKGBの支部を訪問しています。その後、柔道に打ち込み、レニングラード大学法学部を卒業後、KGBに入っています。
彼はクマのように体が大きなロシア人の中では身長170センチに満たない小柄な体格です。幼少時代から体力では勝れないので頭脳で勝ち抜くことをずっと思ってきたのでしょう。そしてそれ以上に諜報という部門に長くいたことで自分の考えや目標を公開しないという癖もついたはずです。人格形成は様々なエレメントが混ざり合った中で作られるのですが、69歳のプーチン氏の最大の不思議は「何を考えているのか誰もわからない」点ではないでしょうか?なら、お前は分かるのか、といえばそんなわけはないのですが、なんとなくは感じるものがあります。「あまのじゃく」という表現も当てはまるのですが、非常に明確な野望を持ち、そこに向かうためにいかに欺くかということに極めて長けている人物です。
北方領土問題について安倍元首相とあれだけ会談を重ねたのに成果はゼロです。なぜ、ゼロなのか、といえば初めからそんなつもりは毛頭ないからです。それこそ、日本に於いて歴史の前提条件が変わるほどの激変がない限り、平和条約や経済交流と引き換えにあの島を返すほどお人よしではありません。ただ、話を聞くだけで日本の首相達は極めて丁寧に、そしてプーチン氏がどれだけ遅刻しようとも顔色一つ変えず、「ようこそお越しくださいました」と歓待してくれるのです。ロシア外交部は日本とは平行線を維持しておけば100年でも同じことを繰り返せると考えています。なぜなら軍隊を持たない日本は実力行使という選択肢が皆無だからです。どれだけ経済関係を深めたとしてもアメリカが背後にいる日本とディールすることはないし、仮に日本がロシアに好条件を示すようならばアメリカが黙ってはいないのです。つまり、柔道で言う組み合う前から勝負は決まっています。
領土という発想に日本は比較的十分な意識を持ってこなかったと考えています。それは多くの離島が他国にとってかつてはほとんどメリットのない小島だったからです。戦前、誰もそれを占拠しようとしなかったし、日本もそれを守るという意識はなかったのです。ところが大陸ではギリシャ、ローマ時代から領地の奪い合いの歴史であったといってよいでしょう。国が変わり、国境が変わります。地図が何度も書き換えられ、興亡の連続でした。第二次大戦が終わってからも領土をめぐる地域紛争は数多く起きています。今回のウクライナもそもそもソ連の領域だったのでそれを取り返す、それに尽きるのです。(つづく)
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