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2007-08-12 00:00
連載投稿(2)日本をアジアの代弁者と見ないASEAN諸国
山下英次
大阪市立大学大学院教授
今回の会議で、私が一番印象に残ったのは、インドネシア国際戦略問題研究所(CSIS)のリサール・スクマ(Rizal Sukuma)副所長の日本の国連常任理事国入り問題を巡る発言であった。日本の国連常任理事国入りを含めた先のG4案に対し、ASEAN諸国が1カ国も共同提案国になってくれなかったわけであるが、その理由について、スクマ氏は、日本が国連常任理事国になったとしても、アメリカにさらに1票を与えるようなものだと、ASEAN諸国は考えたからだと発言した。
それに対し、日本側のある外交専門家から、そのようなことをASEAN諸国から聞いたのは初めてであり、もしそうなのだとしたら日本政府にその旨伝えるべきだったとの反応があったが、論理的に考えれば、ASEAN諸国がそのように考えたであろうことは容易に想像できるはずである。
ASEAN諸国の人から直接そうしたことを聞いたのは、私も今回が初めてであったが、私は以前から同じ趣旨のことを本欄でも、また他の雑誌等にも寄稿して、日本外交に警鐘を鳴らしてきている。この件に関しては、中国からのASEAN諸国に対する圧力も半端なものではなかったと聞くが、たとえそうであったとしても、日本が常任理事国入りすることによって、自分たちアジアの声の代弁者が増えると考えれば、ASEAN諸国は日本に賛成してくれたはずである。
しかし、彼らには、そのようには考えられなかった。そして、日本外交の現状を考えると、残念ながら彼らの認識は正しかったと言わざるをえない。現状の極めて特殊かつ異様な日米関係こそが、日本外交の幅を極端に狭めているのである。ある特定の国に偏った外交をしていたのでは、そもそも「外交の舵取り」というものが成り立たないではないか。辛辣に言えば、日本外交は、あたかも常に舵をワシントンに切りっぱなしの状態と言っても過言ではない。(おわり)
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