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2022-02-18 00:00
政治家35人起訴相当に「臭い匂いは源から絶て」
伊藤 洋
山梨大学名誉教授
「2019の参院選をめぐる大型買収事件で、河井克行元法相(58)=公選法違反罪で懲役3年の実刑確定=らから現金を受け取ったとして同法違反容疑で告発され、不起訴となった広島県議ら100人について、東京第6検察審査会は28日までに、うち35人を「起訴相当」とする議決を出し、同日公表した」(2022/01/28時事)。
記事の中身に入る以前の問題として、何よりも一県の政界関係者が100人くつわを並べて選挙違反を問われるという不道徳をさらした広島県。この県については、日本国民は言うまでもなく世界70余億の人々のうち知らない人はいないというほどに原爆被爆地として「同情」を寄せられている都市である。そこの県政の重鎮たちが雁首揃えて「参考人」として捜査当局の手を煩わせたという。前代未聞の破廉恥事件だ。この一連の事件に関わった地方政治家たちに最大限の非難を届けておきたい。さらにまた、ここ広島は岸田内閣総理大臣のお膝元。しかも彼が当時自由民主党広島県連会長であってその組織内部の政治事件であってみれば少なくともその道義的責任は極めて重い。
しかし、それにしてもこの100人、彼らをまとめて不起訴にした検察当局の判断については全く納得がいかない。この判断からは、捜査過程で何らかの「取引」が働いたのではないかと思わせるに十分な不自然さが漂っている。現にそのことが、検察審査会によって疑われての、「起訴相当」である。これが妥当であるか否かは今後に待つとしても、とにかく「待った!」がかけられた源であろう。この国の「良識」が市民の手によって守られた吉事に、土壇場のところで救われた気分がしたのは、筆者だけではあるまい。
河井元法相の懲役3年実刑確定、控訴取り下げ・公民権停止という、河井氏本人にとっては得意絶頂の「天国」から、一気に「地獄」への転落という落差からも、「地獄」への道筋を形成した行為は詮議されなければならないはずだ。この転落の協力者が無傷というのはあり得ない。同じように、事件全体のそもそもを辿れば、県連として河合杏里氏の参院選立候補に反対の総意を覆して彼女を立候補させたのは、時の宰相安倍晋三元首相と時の金庫番菅前首相だったという。検察はこれら両氏の関与については全く触れていない。これも世間に猜疑の種となっていつまでも芽の出る期待を人々に与え続けている。世にいう「臭い匂いは源から絶たなきゃダメ」の格好の教訓例である。
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