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2022-02-11 00:00
(連載2)権威主義という政治用語は誤解を生む
中村 仁
元全国紙記者
メディアが「権威主義」という表現を使う時は、誤解を与えないように「専制的な権威主義」とか、「独裁的な政治体制」とかの説明を自らつける場合もあります。政治学では「独裁政治であっても、全体主義とまではいかない政治、思想」とかの解釈をしていますか。
スウェーデンの研究機関(IDEA)の報告ですと、「人口比では、世界の7割が非民主的か、民主主義が後退している国で、民主主義国は少数派になった」そうです。世界を「民主主義国、権威主義的政権、その中間の国に3分類していますから、つい「権威主義国家」という表現が使われるのでしょう。
政治用語のニュアンスを正確につかむことはなかなか難しい。全く同じ漢字でも「日本語と中国語で意味が異なることがある」という記事(読売、1/23日)を読みました。例えば、中国語の「愛人」は日本語の「配偶者」にあたり、意味が正反対になると。もっやっかいなのは、「民主主義」という政治用語で、日本での意味と中国語での意味が違うと、この記事は書いています。「日本では、国民が権力を所有し、行使する政治原理の意味」なのに対し、「中国では民主は多様であり、中国には中国式の民主がある。中国は民主と専政の有機的統一を堅持する。民主と専政は矛盾しない。大多数の人を守るためであり、専政の実行は民主の実現のためである」と。こうなると、「中国は民主国家ではない。G7サミット(民主主義主要国会議)に参加する資格を持たない」と批判しても、対話はすれ違う。
マネー経済主義が膨張し、資産格差が拡大し、民主主義国家の中での階層的な対立が深刻化しています。米国がその典型です。黒人などへの差別が中国から批判されることも少なくありません。こちら側の弱点も熟知して、外交に臨まないと、相手国に攻め込まれます。(おわり)
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