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2007-08-12 00:00
連載投稿(2)急速に強まるアセアン・中国間の経済連携
廣野良吉
成蹊大学名誉教授
対中・対日いずれの貿易結合度も増加しているのにも拘らず、アセアン諸国が中国の経済的影響を高く評価するのは、一つには、アセアン諸国が関心ある農産物・原材料輸出を、中国が2005年7月のアセアン・中国自由貿易協定の発足以来、関税引き下げを前倒しにして積極的に助けているという印象・見方がアセアン諸国に強いこと、逆に対日経済連携協定交渉過程で見てきたように、日本が農業保護政策を相変わらず続けていることが大いに影響している。
第二には、アセアンの対中輸出がわずか8年間で6.2倍へと急増し、それだけ中国市場がアセアン諸国にとって魅力的なものとなっており、今後10-15年の中国経済の高度成長を考えると、中国市場の魅力は今後一層大きくなっていくと期待されているからである。今後も中国が2桁近い成長率を長期にわたって維持できるかどうか不明であるが、成熟期に入り、相対的に低下している日本の経済成長からは、たとえ日本・アセアン二国間・多国間経済連携協定が進展しても、中国のような輸出市場の急速な拡大をアセアン諸国が日本に期待していないということである。ましてや、2020年には中国の絶対的な経済規模が日本を凌駕すると見られていることから(購買力平価換算では、中国のGNIは2004年現在既に日本の1.9倍)、アセアン諸国にとって輸出市場の魅力が日本から中国へ変転するのは当然であろう。
第三には、90年代当初以降、実行ベースで毎年300億ドルから600億ドルを越える外国直接投資の対中流入で、外国直接投資依存度の高いアセアン諸国にとっては当初「中国脅威論」が生まれていたが、その後の展開の中で、アセアン諸国と中国との間に機械産業を中心に水平分業が生まれており、経済的補完関係が強化されつつある現実である。これは、他国籍企業の国際分業体制の結果である。特に、対アセアン諸国、対中ともに投資が着実に拡大している日本や韓国の企業が、その企業内分業を通じて、アセアン・中国間輸出入貿易の拡大に多大な貢献をしてきたことは注目に値する。(つづく)
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