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2022-01-21 00:00
(連載2)施政方針演説、優等生でパンチ足りず
岡本 裕明
海外事業経営者
財政健全化を前面に掲げる心理の場合、思い切った投資はできません。なぜなら失敗が怖いからです。コロナ対策のような絶対必要なものには財政を投入しますが、岸田氏は経済の成長分野に投資を決めても小遣い程度に留まるでしょう。しかし、私が同じ立場なら気候変動と異常気象が日常的に起きることを踏まえ、コンパクトシティの推進とメリハリあるインフラの整備に振り向けます。1年後には「新しい資本主義」なんていうぶち上げた看板を掲げなければよかったと本人は思っているでしょうし、アベノミクスのような話題にもならないはずです。なぜなら「三本の矢」のような具体的プランもないのですから。
次いで気候変動問題ですが、これには私はある期待感があります。それは「日本式アプローチ」をアジア地区に展開し、欧米方式と差別化し、それが世界的に認知されるように売り込めるのではないか、という期待です。例えば、自動車なら何が何でもEVというのは欧米方式。日本はハイブリッドの良さを十分理解しています。アンモニアを使った新燃料の開発は日本が先頭を走っていると理解しています。また、水資源や森林資源が豊富だという点ももう少しアピールしてもよいでしょう。他方で、カーボンゼロは極めて耳あたりがよく、政治家が一番飛びつく主題ですが、今年は必ずその反動が来ます。そしてより現実解を求めるための議論が進むでしょう。その好機に、日本方式の「第三のアプローチ」を世界に発信していくプレゼンターとなれるか、岸田首相の能力が問われます。ちなみに、就任後すぐにグラスゴーで発表した岸田首相のCOP26のプレゼンは欧米では全く評価されなかったと理解しています。出席だけすればよいという外交ではだめです。岸田氏も外務大臣だったのですから外交のノウハウは十分ご存じでしょう。
ではその外交についての演説ですが、これがよくわからない。それが私の感想です。「新時代リアリズム外交」。誰がこの表現を作成したのか知りませんが、一言でピンとこないキャッチはそもそも失格です。演説を読む限り全方位外交です。その順番がアメリカ、オーストラリア、北朝鮮、インド太平洋、ASEAN、TPP、中国、ロシア、韓国となっています。これはちょっと違うと思います。好き嫌いで外交をするのではなく、重要度で捉えるべきです。そうなれば必然的にアメリカ、中国が先に来るわけで北朝鮮は韓国と並列でよいはずです。
その他の演説は短いし、内容も深くないので省きますが、一番後に憲法改正を申し訳なさそうに挿入しています。文字数171字は少なすぎやしないか、と思いませんか?熱意が伝わらないと思います。今後は岸田カラーを出せるのか、これが肝ではないでしょうか?立憲民主党は新体制になり、どうもベクトルが定まらず、方向性も打ち出せていません。泉さんではまとめきれないかもしれないし、懸案の共産との関係の方向性も打ち出せていません。一方、中国寄りの公明党も支持率は厳しくなるとみており、勝者無き政党政治になりつつあるのかもしれません。(おわり)
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