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2007-08-11 00:00
連載投稿(1)ASEAN諸国に高まる中国経済への期待
廣野良吉
成蹊大学名誉教授
今年に入って7月18日-19日にグローバル・フォーラムとASEAN戦略国際問題研究所連合 (ASEAN-ISIS)の共催、読売新聞社および日本アセアンセンター協力による第6回「日・ASEAN対話」が国際文化会館で開催され、「新時代における日本とASEANの挑戦」について、100名を超える参加者の間で白熱した議論が展開された。その主要な課題は、2015年のアセアン共同体創設に向けてのアセアン加盟諸国の主要関心課題であるアセアン憲章の中身、エネルギー・環境問題、政治・外交問題であった。しかし、日本側、アセアン側両方の討論者が特に取り上げた問題は、過去10年間の中国の目覚しい発展が、アセアンの発展と日本・アセアン関係へ与えてきた影響であったと言って過言ではないであろう。今月6日には、アセアン設立40周年記念シンポジウムが日本アセアンセンターと日本経済新聞社の共催の下、ホテル・ニューオータニで開催された。ここでは、「グロ-バル化時代の日本・アセアン経済関係」が主題であったが、近年における中国の急速な経済的台頭がアセアン経済の発展、日本アセアン経済関係の変貌に果たしてきた役割に触れないパネリストはいなかった。
そこで、当然ながら気になるのは、日本側とアセアン側の討論者の間に見られる中国の位置づけである。若干の見解の相違はあるが、一般的に言えることは、アセアン側では、日本側にあるような中国脅威論ないし対中警戒心は少なく、アセアン経済の発展への中国の積極的な面を高く評価しているということである。確かに、中国の軍事力の拡大・近代化や資源、特に化石燃料に対する異常なほどの対外需要の伸びがアセアン諸国にもたらす影響については大きな懸念を示しているが、いずれのアセアン諸国も中国経済の発展がアセアン諸国の経済発展、特に輸出の伸びに対して好影響をもたらしている事実に着目している。WTO加盟を果たした中国の輸出攻勢によって大きな打撃を受けるという懸念から、かっては「対中脅威論」がアセアン諸国でも支配的であった。
しかし、ふたを開けてみると、アセアン4(インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ)だけをとっても、その対中輸出額は1998年-2006年に58億9700万ドルから363億7300万ドルへと増大し、これら諸国の世界輸出に占める対中輸出の割合も3.6%から10.6%へと急増した。『環太平洋ビジネス情報』26号によれば、2000年に比べると2005年のアセアン諸国の対中貿易結合度は、加盟国別に見ると、フィリピン(2.5から1.2)を除けば、同水準にあるか高まっている(インドネシアとマレーシアは1.4 から1.4、シンガポールとタイは1.2から1.5)。他方、アセアン諸国の対日貿易結合度は従来からも高いが、ここ数年を見ると、シンガポール(1.4から1.2)とマレーシア(2.4から2.1)を除けば、インドネシアは4.4から4.7、フィリピンは2.8から3.4、タイは2.8から3.0へと強化されている。(つづく)
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