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2022-01-13 00:00
(連載2)釈然としないカザフスタンの混乱
岡本 裕明
海外事業経営者
もう一つの疑問点はトカエフ大統領が即座にロシアに支援を求め、ロシアの治安維持隊が同国に入り、混乱を鎮静化させている点です。アメリカのブリンケン国務長官は、トカエフ氏の「反逆者は容赦なく射殺してもよい」という発言を非人道的で容認しないと述べ、なぜロシアに支援を求めたのだろうともコメントしています。
これらの事実を並べると、第一にトカエフ氏と前大統領のナザレバエフ氏の間に生じた確執、次に国民の不満、三つ目にトカエフ氏の体制保持のためのロシアとの関係強化の演出が今回の出来事の背景として見えてきます。ちなみに中国もトカエフ氏を支持すると表明しています。ところでこのトカエフ氏は外交官出身で外務大臣を長く勤めています。ロシアと中国で学び、中国語も流暢だとされます。直接の引き金は国内問題です。騒擾は民主制度がほぼ全くない中で国民によって燃料費高騰を引き金に生じました。トカエフ氏は保身のためのロシアと中国を後ろ盾にして、敵対する前大統領とその派閥の一掃を図りました。このような状況では、これから始まる組閣のプロセス次第では、国民が再度蜂起するかもしれません。これら一連の秩序の不安定化はカザフスタン国内の事情によるとみています。
他方、ロシアから見るとこの出来事も違う風景かもしれません。少々強引かもしれませんが、これをウクライナと米欧への見せつけだとしたらどうでしょうか。自身への反逆をロシアと中国は許さないとする示威行為です。ロシアは旧ソ連邦諸国にロシアへの忠誠心を持たせ、ロシア帝国主義の強大化を第一義としています。いかなる疑念も抱かせないような国家統治はすべてに優先するという発想です。ウクライナが西側諸国になびくならそれは力を持って制圧するという心理的駆け引きがあったとみてもおかしくないでしょう。プーチン氏は戦略巧者です。自身を正当化し、帝国の再構築を着々と進める、これが彼のやり方ではないでしょうか。
トカエフ大統領も北京五輪に行きます。プーチン氏も行き、習近平氏との会談も予定されています。世界の勢力地図は確実に安定感を失っています。我々にとって縁もゆかりもないところですが、地球儀は小さくなり、複雑なパワーゲームが繰り広げられているといっても過言ではないのです。(おわり)
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