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2022-01-06 00:00
(連載1)ショルツ新首相のドイツはどう変わるか
宇田川 敬介
作家・ジャーナリスト
ドイツで社会民主党(SPD)、自由民主党(FDP)、緑の党の3党連立によるショルツ政権が発足した。社会民主党が206議席、緑の党が118議席、自由民主党が92議席、ドイツ連邦議会(議席数735)の過半数を占めての組閣となった。新首相となったオラフ・ショルツ氏は、ハンブルクの出身である。メルケル前首相は、旧東ドイツ出身であり、旧東欧的な社会主義教育を受けてきた首相であったのに対して、ショルツ氏は旧西ドイツの人物である。ハンブルクは、母体である社会民主党(SPD)の本部も存在する場所である。もともとメルケル内閣の副首相や財務大臣を歴任していることから考えれば、ショルツ氏はメルケル首相の路線をそれほど大きく変えることはないと考えられる。とはいえ、メルケル首相の率いたキリスト教民主同盟(CDU)が惨敗したことを踏まえれば、メルケル時代とは異なる政策アプローチが今後強まっていく可能性が高いと考えるのが自然だろう。では、ショルツ政権になって何が変わるのか。
ドイツ社会民主党は、もともとは日本の日本社会党との関係が深い。そのことから考えてもわかるように、西ドイツにありながらも左派的な考え方をしており、ショルツ首相自身も左派的な政治思想を有している。そういう点では、ショルツ首相になってドイツがEUを離脱したりドイツ一国主義になるという心配は不要だ。
ショルツ氏は首相就任を翌日に控えた先月7日の記者会見で、「世界には米中ロだけでなく、多くの強力な国がある」と語ったうえで、日本や韓国、インドなどの国名を挙げた。そして、「対中政策で米国と協調し、(中国への)戦略的依存を減らすため、志を同じくする国々とも協力する」という趣旨の文言が連立の協定に盛り込まれたことを明らかにしている。つまり、メルケルのようにロシアや中国に親しい外交を行うのではなく、対中国依存を減らす方向に舵を切ったということだ。すでに、アメリカの民主主義サミットへの参加内容などを通してしっかり言行一致しているのは見えている。
さて、筆者はドイツの内政に関してはあまり興味がないのであるが、ドイツの外交やそれに伴ってEUがどのように変わってゆくのかということに関しては非常に興味がある。メルケル首相がドイツを率いた時代は、EUにおいてもドイツは指導的な役割を担い多くの果実を手に入れてきた。そして、EUにおいてドイツが最も重要な国として尊重されている今ショルツ氏がEU至上主義を引き継いだとしても、ヨーロッパに問題はないであろう。現在のEUでは軍事はフランス、経済はドイツというような感じで、フランスとともに中心的な位置を占めており、欧州は比較的安定している。しかし、EU圏では政治と通貨発行権が別々になっていることは有名だが、それだけではなく、事業の許認可もEUの中央一括で行われるなど、本来は個々の国家が持つような類の権限がEUのものとして大きくなっている。(つづく)
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