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2021-12-25 00:00
共産党、空想的平和主義からの転換を
加藤 成一
外交評論家(元弁護士)
周知のとおり、日本共産党は、党綱領四で「自衛隊違憲解消」及び「安保条約廃棄」の「非武装中立政策」を主張している。機関紙「しんぶん赤旗」等において、「敵基地攻撃能力」保有反対、嘉手納・岩国・横田などの米軍基地反対、大学軍事研究反対、防集団的自衛権・安保法制反対等を一貫して強硬に主張している。
上記の、個別政策は、まさに、日本を安全保障上「丸裸」にするための「非武装中立政策」にほかならず、日本を完全に無防備の「力の真空状態」に陥れるものである。しかし、金日成の北朝鮮軍が韓国に侵攻した1950年~1953年の「朝鮮戦争」を見ても明らかなように、「力の真空状態」は、他国からの侵略を誘発し極めて危険である(小泉信三著「私の平和論について」小泉信三全集10巻463頁文藝春秋社参照)。ところが、共産党は「軍事力」によってではなく、「平和外交」によって国家と国民を守るべきであり、軍事力に対して軍事力で対抗すれば、「軍事対軍事」の悪循環に陥り危険であると言うのである。恐らく近年における中国の覇権主義的な「軍拡」を念頭に置いたものと考えられる。
さらに、共産党は、上記の通り「自衛隊違憲解消」のみならず、米国との「安保条約廃棄」まで主張している。そうすると、日本にとって、米国の「核の傘」は消滅するから、日本は「核抑止力」を含め、すべて自力で国家と国民を守らなければならなくなり、「非武装中立政策」にリアリティがますますなくなる。日中両国の間に「力の真空状態」が生じても、なお、共産党は「平和外交」のみによって本当に日本の国家と国民を守れるのか?共産党は責任をもって、そのことを日本国民に対して保証できるのか?共産党にはこの問題に明確に答える政治責任がある。
以上の通り、日本共産党の「自衛隊解消」及び「安保廃棄」という「抑止力」を否定する「非武装中立政策」は、日本を丸裸の「力の真空状態」に陥れ、他国からの侵略を誘発し、日本を国家存亡の危険に晒す空想的平和主義でしかあり得ないのである。外交安全保障に関する考え方がこれでは政権交代は「空想的」と言わざるを得まい。日本共産党は、本気で政権を取る気があるのであれば、速やかに党綱領を根本的に改正し、自衛隊や、日米安保条約による「核抑止力」の必要性を認めるのが党勢拡大に不可欠である。その気がないなら今後も「たしかに野党」に相違ない。
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