ホーム
新規
投稿
検索
検索
お問合わせ
本文を修正後、投稿パスワードを入力し、「確認画面を表示する」ボタンをクリックして下さい。
2021-12-17 00:00
(連載1)新型コロナ時代の「新しい資本主義」の意味
篠田 英朗
東京外国語大学大学院教授
岸田文雄首相が打ち出している「新しい資本主義」については、「成長と分配」が注目される傾向があるが、実はより切実なのは「コロナ後の新しい社会の開拓」のほうではないだろうか。「成長と分配」については、「新自由主義」の対抗軸となるスローガンとして意味があるのだろうが、政策概念としてどこまで真新しいのかは、よくわからない。そもそも「新自由主義」という語を内容不明な形で使い回しながら、とにかく世の中の悪い現象は全て(彼らが言うところの)「新自由主義のせいである」と結論づけて何か言った気になってみせる左翼系評論家の悪弊は、政策論として意味のあるものではなかった。
これに対してコロナ後の経済の行方は、目の前の直近の切実な課題だ。ただ、「コロナ後」、という概念設定は、気になる。「コロナが完全に収束した後に、経済をコロナ前の状態に戻していくには」といったニュアンスがそこに込められているとしたら、それが妥当であるかは怪しい。昨年初めに新型コロナが流行し始めた頃から、私だけでなく、多くの論者が、言葉の正確な意味で社会が元に戻ることは、少なくとも相当期間にわたっては、想像できない、と書いていた。
現在、日本の新型コロナの感染状況は低水準に入っている。だが根絶が視野に入っているわけではない。そのため人々は、一人で路上を散歩するときですら、マスクをつけたままだ。旅行業界や観光業界はもちろん、飲食業界のビジネスも、近い将来に「コロナ前」に完全に戻ることは、想定できない状態だ。
ワクチン普及率が人口の大半を占めるまでに至っている欧州諸国は、レストラン入店時にワクチン接種証明を示すことを求める規制などを導入して平時に戻すような措置をとったが、規制の度合いが緩かった国から順番に感染が再拡大し始めフランスがイギリスからの入国を制限するなど再び抑制する方向に向かっている。(つづく)
投稿パスワード
本人確認のため投稿時のパスワードを入力して下さい。
パスワードをお忘れの方は
こちら
からお問い合わせください
確認画面を表示する
記事一覧へ戻る
東アジア共同体評議会