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2021-12-14 00:00
(連載1)日本のファンドレイジング、北米と大きな差
岡本 裕明
海外事業経営者
日本人はケチです。これは客観的に見て間違っていないと思います。どうケチか、といえば自己満足主義で自分には割とお金を使いますが、利他の心が薄いのです。利他の心といえば稲盛和夫氏が有名ですが、経営的思想の一つでビジネススタンスの問題です。いざ、マネーとなると「おごる」という発想がありますが、それは知人友人に対してであり、知らない人に「身銭を切る」人は少ないのです。相続で身内の破綻が起きるほどお金には狡いのです。年末となると歳末助け合い募金を思い出します。この共同募金、昭和22年に始まったのですが初年度の募金総額は5億9000万円でした。そこから順調に伸びて1995年にピークの179億円をつけます。その後、募金は低下の一方で2019年末の歳末募金は128億円となっており、下げ止まる気配はありません。
日本の寄付金は日本ファンドレイジング協会が数年おきに統計を発表しています。2021年度版は12月17日発売でその前号は2017年版になります。その際発表された各種個人寄付金総額が7756億円(2016年時点)とされます。多いのか少ないのか、といえば少ない、と申し上げます。アメリカが31兆円で国民一人当たり9万円の寄付金、英国が1.5兆円(同22000円)、韓国でさえ6700億円(同13000円)となっています。日本は国民一人当たり6500円です。つまり韓国人のちょうど半分、アメリカ人の14分の1です。
日本人の寄付金といえば最近の流れはふるさと納税とクラウドファンディングが寄付効果の高いプログラムとして名が知られています。しかし、ふるさと納税は「納税」と名がついていますが、別に税金を払うわけではなく、自分が希望する自治体に寄付をして、その見返りにギフトをもらうという仕組みです。税額控除があるじゃないか、という意見もあると思いますが、国が認知する正式な寄付行為はどれでも税額控除はできます。クラウドファンディングも背景はその商品やサービスが完成後に安く手に入るという「株主特権」を期待したものも多く、純粋な意味での寄付とは言い切れません。
ちなみに2020年度のふるさと納税額は6724億円です。クラウドファンディングは1842億円(矢野経済研究所、2020年)となっています。上記の2016年の統計とは比べられませんが、見返りが大きなドライビングフォースになっていることがお分かりいただけるかと思います。寄付とは基本的には何の見返りも期待せず、「頑張ってね」「支援します」という意識の中でお金を出すのが基本です。その中には政治団体への寄付も入り、概ねどの国でも税額控除が出来るはずです。(つづく)
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