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2021-11-25 00:00
立憲は「容共」から舵を切れ
加藤 成一
外交評論家(元弁護士)
立憲民主党は、今回の総選挙「惨敗」の責任を取って辞任した枝野代表の後を受けて、4人の候補が代表選に臨んでいる。いずれの候補も、個々の選挙区における自民党との「1対1」の対決構図実現の必要性を強調し、候補の「一本化」のため、共産党を含め「野党共闘」を引き続き進める方針のようである。すなわち「枝野路線」は基本的に継承されるものと言えよう。しかし、今回の総選挙の結果が「惨敗」となれば、代表選では焦点であった日本共産党との「閣外協力」の是非が徹底的に議論されてしかるべきであろう。しかし、4人の候補が最大の争点である共産党との「閣外協力」の是非を論じないとすれば、いったい何のための「代表選」なのか。4人の候補は、今後の国政選挙でも、立憲が引き続き共産党の協力を得る必要があると考え、共産党に「配慮」し「遠慮」しているのであろう。
今回の総選挙で、「一本化」により、立憲は確かに選挙区では公示前より9議席増やしたが、比例では23議席も減らした。その最大の原因は、もし、政権交代が実現した場合には、「閣外協力」をする共産党が政権に対して大きな影響力を及ぼすことを、従来からの立憲支持層の一部や無党派層の一部が恐れ、これらの票が立憲から離れ、維新等に流れたと筆者は分析している。その根底には、日本における強靭な「共産党アレルギー」がある(11月10日グローバル・フォーラム論壇「議論百出」掲載拙稿「立憲民主党を惨敗させた共産党アレルギー」参照」)。したがって、仮に、「共産党アレルギー」による悪影響を恐れ、立憲から「閣外協力」解消の申し出があっても、共産党は応じないであろう。なぜなら、共産党にとっては「閣外協力」という「反対給付」の合意が成立したからこそ、立憲に対して「一本化」に協力し、多くの選挙区で候補を取り下げたからである。「反対給付」が一切ない一方的な「選挙協力」などはあり得ないであろう。そうだとすれば、立憲が一方的に「閣外協力」を破棄した場合は、共産党は今後立憲には選挙協力をせず、かつての「自共対決」の独自路線をとる可能性が大きい。
以上に述べた通り、立憲は、もし、今後も共産党との「閣外協力」の合意を継続すれば、これに強く反対する立憲の最大の支持母体である連合の協力を得られないだけではなく、他党からの激しい批判に耐えなければならない。総選挙後に行われた共同通信の世論調査では、61%が「野党共闘」の見直しを求めていることからも、同じ戦略で今回の総選挙と異なる結果を求めるのは難しく、世論に応えない中での政権獲得は望めまい。したがって、立憲民主党が政権を獲得する道は、共産党との「閣外協力」の合意をきっぱりと破棄して、立憲支持層及び無党派層の支持を固めることである。また、自衛隊・安保条約などの基本政策を同じくする国民民主党や日本維新の会などと個別の具体的政策で連携・協力関係を積み重ねて「非自民連立政権」の樹立を目指すべきである。
立憲民主党は、とりわけ、共産党と同様の「安保法制の違憲部分廃止」の主張は、覇権主義的軍拡路線の中国による尖閣危機や台湾危機などを考えると、これらの危機を抑止するための米国との集団安全保障体制の強化に明らかに逆行するものであるから、早急に撤回すべきである。
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