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2021-11-16 00:00
(連載2)世界の物流混乱と日本経済、そして中国本土経済について
真田 幸光
大学教員
一方、中国本土経済が回復を続けていることについては一定の安心感を持っているとの見方が示されましたが、中国本土の不動産バブル問題の中で苦戦をしている不動産開発業者・恒大集団を取り巻く債務問題は注視、その悪影響の可能性をフォローしていかなくてはならないと指摘しています。恒大集団問題は、中国本土経済と金融システムにどのように影響するのか、そして更にそれが世界経済へ如何なる影響を与えるのかを意識しつつ、監視を続けるべきであると指摘しています。
ところで、この中国本土に関する問題について、私が気にしている点の一つに、「中国本土自身の物価上昇問題」があります。中国本土経済は、これまでは、原油や原材料などの国際価格を持つものの価格が上昇しても、「相対的に質が高い一方、比較的安い人件費となる労働者」を抱えていた為、世界的なインフレ懸念が出ても、「Made in Main Land China」
製品やサービスは相対的には安く、「世界的なインフレを助長するどころか、むしろ抑制する効果もあった。」と言えましょう。
が、イギリスの経済学者であるアーサー・ルイスがかつて指摘した、「ルイスの転換点」でありましょうか、低付加価値産業の農業部門からの都市部の高付加価値産業である工業部門やサービス部門に余剰労働力が流入、中国本土の経済社会発展をこれまでは促しましたが、今や、中国本土の農業部門の安価で質の高い労働力が底をつきました。これがルイスの転換点であり、その後は、中国本土の労働需給が崩れ、賃金率の大きな上昇が起こり、先進国からの設備投資や技術移転による後発発展モデルはここで限界に達しました。
すると、中国本土国内で、今、中国本土政府の推進している自発的な経済改革が起こらない限り、中国本土は所謂、「中所得国の罠」に典型的な状況になります。かつて中南米諸国に見られた、そして、今、世界の主要国にも見られるかもしれない、そして、「経済不況の中での物価上昇」という、「スタグフレーション」に中国本土自身も陥り、結果、「世界経済の牽引車としての中国本土経済」という役割も一旦は消滅してしまうということです。即ち、実体経済、金融経済共に悪化しつつ、世界経済の同時不況と言う事態が発生するかもしれません。申し訳ありません、最後のパラグラフは悲観的過ぎる見方かもしれません。しかし、念の為、こうしたシナリオも、想定の中に入れておいてください。(おわり)
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