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2021-11-17 00:00
コロナ激減は国民と政府一丸の成果
加藤 成一
外交評論家(元弁護士)
このところ、東京都をはじめ全国的にコロナ新規感染者数が激減している。東京都は1日の新規感染者数が、本年8月中旬には5000人前後にまで急増していたが、11月1日には9名にまで激減し、11月15日には7名となり、死者はゼロである。それに応じて重症者数や死者数も激減した。この傾向は、東京都のみならず、全国的にも新規感染者が激減し、ゼロの県も増えている。そのため、全国的な医療逼迫状態が大幅に改善され、東京都を含め、病床使用率が0%~5%などコロナ病床に相当な余裕が生じている状況である。
こうした新規感染者激減の原因については、専門家の間で様々な分析がされている。一部の専門家は、コロナウイルス・デルタ株の死滅・自壊の仮説を主張している。しかし、この主張は他国でのコロナウイルス再拡大の傾向と矛盾する点があり、あくまでも「仮説」にとどまると言えよう。大多数の専門家は、日本における若年者から高齢者までの全国民に対する急速なワクチン接種の拡大普及効果を認めている。本年2月から始まった自民党菅政権によるワクチン2回接種は、いまや全国民の8割に近く、欧米諸国を凌駕するに至っている。具体的には、菅首相のワクチン接種大号令により、河野ワクチン担当大臣の指揮の下で、1日最大160万回にも達し、地域医療機関による接種、職域接種、自衛隊による集団接種など、全国民に対して急速なワクチン接種が進められた。
このようなコロナ新規感染者の全国的な激減については、まずもって、コロナ感染者の治療、PCR検査、抗原検査、ワクチン接種など、医師、看護師をはじめとする医療従事者、保健所、自治体、自衛隊関係者の献身的な努力に敬意を表したい。そして、日本国民一人一人の協力も不可欠であり、国民はよく協力したと言えよう。電車・バス等の乗り物はもとよりのこと、街を歩いていても、マスクをしていない人は皆無に近い。それほど日本国民はまじめに協力している。さらに、居酒屋などの飲食業界には長期間に及ぶ営業制限等によく協力されたと改めて感謝したい。他方、欧米諸国の中には、ワクチン接種がかなり進んでいるにもかかわらず、英国、ドイツなど感染の再拡大に見舞われている国もある。そうした国では、国民の間にマスクの着用が少なく、3密に無関心で、一部のワクチン接種反対運動など、日本とは異なり、政府の方針に協力的でない面が見られる。また、政府も経済の回復のために各種制限緩和を急いだ面もみられる。
上記の通り、今回の感染者激減には、医療従事者をはじめ、保健所、自治体、自衛隊関係者の献身的努力のほかに、国民一人一人のマスク着用、3密回避、テレワーク、夜間外出自粛、旅行自粛などの協力があり、特に居酒屋等の協力には感謝の思いであるが、それとともに、大多数の専門家も認める通り、ワクチン接種の飛躍的拡大普及の効果が極めて重要な原因であったことは否定できない。その面では、「ゼロコロナ」を主張する立憲民主党などの野党から後手後手との批判があったとはいえ、自民党政権がワクチン接種に本腰を入れ全力投球したことが、今回の新規感染者激減をもたらした極めて重要な原因であり、自民党政権の功績と言えよう。だが、あまりにも極端なコロナの感染状況の劇的改善により経済活動をより促す方向に圧力がかかるだろうことから、コロナ政策との兼ね合いが難しくなってくる。願わくは、岸田新政権には、第6波を何としても防止するために、3回目のワクチン接種、経口薬、カクテル療法、病床確保等を含め、引き続きコロナ対策に全力を傾注されるよう切望するものである。
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