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2021-10-28 00:00
日本において中国との関係を考える
中山 太郎
非営利団体非常勤職員
コロナ騒動で、中国からの客は来なくなり時間を持て余し気味のこの頃だ。そしてふと時々思いだすのは、彼らの訪日時の言葉だ。さて、27日の邦字紙は、眞子さまのご結婚で大騒ぎだ。多くの日本人と同じく心から幸せなご家庭を築かれんことをお祈りする。国際関係に足を踏み入れていると、如何に日本の皇室は日本の外交資産であるかわかる。歴史の長さ伝統の蓄積の重みを感じるのだ。多くの外国人からも、うらやましがられてもいる。ある外国人は、筆者にお前のところは政府の外交のほかに皇室という二段構えの外交ができるとも述べた。眞子さまは、過去のお仕事で、海外で大変立派な友好親善活動を尽くされたと聞いている。
人民の国、中国においても皇室への尊敬の念は深い。筆者の知り合いの若い女性の歴史学者は、父親は地方の幹部の端くれだそうだが、平成天皇の訪中時の担当を任され、その間その仕事に類を見ない熱を入れて取り組んだそうだ。ある時には、観光の場面に彼女を引っ張り出し、皇后さまの役をさせ、段取りを計算したと述べていた。いま、米国と張り合い世界の一方の立役者となった感のある、習近平主席も、その副主席時代、日本は民主党政権下だったが、無理を言って陛下に拝謁した。いま、反権力の中国知識人のあるものは、習近平が倒されるときの理由の一つとして、この時陛下に拝謁の入り口で、カメラが入っていないのを見定め最敬礼のお辞儀をしたが、あに図らんや、その影が写真に写されていて、それがひそかにでわまっているそうだ。
彼は言う。胡耀邦の失脚の時の罪状の一つが、彼の親日ぶりにあったことを忘れてはならない。5千人の日本の若者の招へいが国費を無駄遣いしたと言われたのだ。こうした写真についてだが、知り合いの英国人元外交官は言う、彼は文革末期に北京に在勤していて、仕事としてテレビのニュースは必ず見ていたが、ある時、画面に違和感を感じ、よく考えてみたら、4人組が退治され、彼らの場面がきれいに消されていたそうだ。西欧人は、人が悪く、日本が歴史問題で中国から難癖をつけられ困っているときは応援してくれないで、中国はなんでもありだからと高見の見物なのだ。いずれにしろ、中国においても皇室はキチンと尊敬されているのだ。
ある中国知識人が、日本訪問中に述べた言葉を思い出す。「日中関係が悪いのは、ひとえに情報の不均衡、国民関係の混乱と不安定のもとにあるからだ。中国という国は不正常な政治と未成熟な民衆により成り立つことをよくよく認識してくれ。日本における対中関係が悩ましいのは、皆が国対国の関係だと考えがちだからだ。そうではなく、国家対中国共産党の関係なのだ。中国は国家レベルでは、権威主義により主導されているが、民間レベルでは愛国心、ナショナリズムで動いているのだ。民間の知識人が体制側と平等な関係を持つことは夢のまた夢なのだ。だから、ひとたび日中間で問題が起きた時には、一般民衆の声として偏ったナショナリステックになるのだ。日本の人たちは、中国には真のメデイアがないのだと言うことを忘れないでほしい」と絞り出すような悲痛さで訴えていたことを今しみじみと思い出している。いまの日本で、ややもすると一筆書きに、単細胞的に中国の現象とらえがちなことを憂う。中国にもいろいろな声が存在し散ることを忘れないでほしい。
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