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2021-10-22 00:00
(連載1)3人の「富の再分配論」聞こえは良いが
岡本 裕明
海外事業経営者
コロナで我慢を重ねたこの1年半で所得のアンバランスが発生したと考える政治家や経済専門家は多いと思います。そのアンバランスを修復するためコロナ最盛期には各国とも様々な支援金や助成金をばらまき、パッチワークをしてきました。ここにきてやや落ち着きを見せる中、不平等で歪んだ所得分布に対して応急処置から中長期的な視点で富の再分配を主張する声が大きくなってきました。その中で3人の意見の違いに着目しています。その3人とは岸田文雄、枝野幸男、習近平の各氏です。まず、岸田氏ですが、新内閣を「新時代共創内閣」と名付け、新しい資本主義の実現を目指す、としています。基本的には「令和版所得倍増計画」とも称され、子育て世代への教育費、住宅費支援、介護士/保育士などへの待遇改善、賃上げ企業への税制優遇をもくろんでいます。この政策は一般的に中間層へ厚い支援とも称されています。
枝野氏は自民党総裁選の頃、立憲民主党独自の政策を次々と発表、その中で経済政策について「分配無くして成長なし!みんなを幸せにする経済政策」と称した具体的プランを発表しています。内容は時限的減税と給付金、ベーシックサービスの充実、雇用の安定と賃上げ、(企業の)研究開発の強化、これら財源として富裕層と大企業への優遇税制是正とあります。特に話題になったのが一番目の時限的減税で年収1000万円以下の所得税1年間免除が目玉ではないかと思います。1000万円というと結構な高所得者も入るな、と思いますが、政策全体のトーンはより下の収入層へ手厚いカバーをするという見方が強く、岸田氏の中間層重視策に対して枝野氏の案は低所得者層重点型とされます。
最後、習近平氏が掲げているのが「共同富裕」で格差を縮めて社会全体が豊かになることを意味します。そのための中間層の勃興を目指すとしていますが、基本的には全体を均すという感じで上から下までをより平等にするという発想です。そのために企業や個人で資産や利益、収入が多いグループに対してごっそりその「余剰の富」を下に再分配するというものです。
岸田プランが財源を使い、中間層勃興を図るのに対して枝野、習近平氏は富裕層や大企業の余剰分を下層に動かすという点で大きな違いがあります。但し、岸田プランに株式所得への課税強化となる金融所得悪玉論が入っており、それが大変不評を買っている点は事実です。3名に共通しているのはどの政策も富の偏りを修正しようとしている点です。広義の社会保障政策であり、これだけ聞けば自民党もだいぶ中道左派に近くなってきたな、という気がします。(つづく)
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