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2021-10-22 00:00
邦字紙から考える中国の格差問題
中山 太郎
非営利団体非常勤職員
コロナ騒動の前だが、中国の大学教授などの知識人の一団を案内して、日本の選挙の実情を見学したことがある。国政、地方のそれを見た。彼らが一様に驚いたのは、権力の中枢に位置するような人間が、夏の暑いさなか、めげずに選挙区を走り回り、演説をし支持を集めている姿だ。実際の投票日の集票の場所も見学させてもらえたが、多くの人間が集めた票を粛々と整理し最後に集計する姿だ。ある人は言う、中国の幹部は雲の上の存在に慣れているので、一般庶民に対し、平身低頭して一票のお願いをするなど考えられない。また、集計の場面だがあれだけ多くの人間が、文句も言わず懸命に公正な仕事をすることなど、今の中国人には無理だ。とも述べ慨嘆した。
考えれば、日本の選挙もいろいろぼろが出て、無様なことも大ありだったが、戦前から戦後と改良を重ねた長い伝統がある。投票の厳粛さ、重要さを皆、大人ならば知っているのだ。こうした土壌のないところに、無知な米国人(これは、ある西欧の人間の言葉だが)が、戦後日本の民主主義を育てたように、アフガニスタン、イラクにも育てるなどの妄言を吐く西側の人間もいるのだ。
日本の衆議院選挙の始まった20日の邦字紙の紙面で述べると、朝日新聞夕刊の国際政治学者の藤原帰一氏の論述に興味をひかれた。「所得分配にかじを切った日米中」「大きな政府できるか」として、分配が政策目標となる背景は格差の拡大だ。(その実現には)中国と日米両国の分かれ目がある。 所得の格差は強権的に抑え込めるかもしれないが、中国共産党が権力を保持する限り、国家と市民との間に開いた政治権力の格差は開いたままだろう。逆にアメリカでは、巨額の財政支出を行ったところで貧富の差を埋め、中産階級が再生する見込みは小さい。所得の不平等が民主主義と併存する政治を変えることは難しい。として、両超大国の今後に楽観的ではない。日本については、新しい資本主義の実現を試みたとしても、財政赤字の拡大を覚悟しながら社会保障と税制によって所得再分配を進める方針が示されたわけではない。財政再建と成長戦略を求める圧力のために構想が挫折に終わる危険は大きい。と述べ、結論として「所得再分配を目指す政策の内実を与野党が競ういあうことができれば、選挙は政策選択の場になる。これこそが、強権支配と民主主義のちがいにほかならない。
中国における弱者のみじめな姿を肌身に知るだけに、日本が見本となり、社会における弱者の少しでも引き上げに成功することを祈るばかりだ。
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