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2007-08-02 00:00
参院選挙後の日本とアジア外交
河東哲夫
Japan-World Trends代表
参院選挙の結果は、日本のアジア外交にも大きな意味を持っている。まず憲法改正の動きはこれからも続くとしても、その日程は大幅に遅れた。与党は参院で3分の2どころか過半数さえ失ったからである。国会では、与党が民主党からことごとに抵抗を受けるだろうから、外交で新しいイニシャチブを打ち出すどころでなくなるだろう。先月このコラム(『百家争鳴』2007年7月13日)に書いたように、日本の外交は麻痺する。
そして折悪しく、アジアでは新しい大きな動きが起きている。アメリカがイラクに集中できる態勢を作るため、アジアの政治情勢をとりあえず今の形で安定させておこうとする動き、つまり日米安保は維持したまま、中国をもっとアジアの安定にコミットさせる仕組みを作る動きを強めている。アメリカにもまだ具体的な考えは固まっていないようだが、とりあえず北朝鮮をめぐる六者協議の場を北東アジア全体の安全保障を議論するメカニズムに発展させる構えを示している。アメリカは北朝鮮の核問題「解決」プロセスにおいて中国がこれまで果たした役割を高く評価しており、中国は「一緒に仕事ができる」、しかも力のあるパートナーだと思い始めている。
日本の役割は変化している。数年前は、米国に対して北朝鮮との対話を呼びかけていたのは日本である。それが現在では、拉致問題を脇に置いた形で、しかも原爆廃棄の保証がない中で、米国と北朝鮮の間の対話が進むのを苦々しく思い、米国に対して不信感さえ持つに至っている。六者協議の場でも、拉致問題以外のことについて前向きの議論をリードできる状況にはない。アメリカにとって今の日本は神経質で口うるさい、その割には力のない同盟国だと見えるだろう。
日本はまた、自分の立場やアイデアを十分反映できない中で、大きな枠組みを作られようとしている。内政が麻痺している中で、日本はどうしたらいいのか?識者が集まってマスコミに大構想でも発表すればいいのか(絶対まとまらないだろうとは思いますが)?いや、六者協議とは別に、昔の大来佐武郎のような重みを持った人をアジア問題特別代表にでも任命し、シャトル外交を展開するのがいいのか?政治が麻痺しているなら、官僚機構や論壇が頑張るべきだろう。でなければ、昭和初期の繰り返しになってしまう。
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