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2021-10-10 00:00
女性の社会進出
中山 太郎
非営利団体非常勤職員
今回の自民党総裁選においても、女性の政治の世界、広い意味での社会進出の遅れについて少しは議論があったものの、終わると皆すぐ忘れてしまった。筆者の経験でも、筆者の属した国際問題研究組織に米から有能な若い女性の学者が来られていた。休日、彼女の家族を紹介するからとの誘いで食事の会場へ赴いたが、彼女は2歳のお子さんずれだった。しかるに彼女のご主人、彼女が日本で仕事をすると言うので米での仕事をやめ日本で急遽仕事を探したそうだ。フリピン人の英語もうまい賢そうなお手伝い、この人が赤ん坊の面倒も見ているそうだ。彼女は、自分の学業に全力を傾けることができるわけだ。世界の王者米だからというわけでもないのは、知り合いの中国人女性も、家事はもちろんご主人が手伝うし、女中さんがいて、お子さんの面倒を見てくれてるそうだ。彼女が仕事に全力を尽くすことが可能なわけだ。
自由圏の王者の米国だからというわけでもない、専制国の王者中国でも、優秀な女性の社会進出には、こうした多くの支えがあるのだ。翻り、わが日本は、どんな優秀な女性でも、お子さんができると仕事どころではなくなるのが現状だ。障害が多すぎるのだ。保育園の充実もなかなか進まないし、産休など制度ができても使いずらいのが現状だ。世界の色々な統計でも、日本は下から数えたほうが早い数字だ。知り合いの米国人学者は、日本は2重に損をしている。有能な人材を自国の企業や組織で使わない。そうした人材は、ライバルの外国企業や組織で働くこととなり、日本へのプレッシャーとなると宣う。NHKのアナウンサーだった山根基世さんが随筆で書いておられたが、同輩の男性職員が普段男女の不平等があってはならぬと述べていながら、地方に行き爺さんの土地の大物にインタビュー中にその爺さんが、おい女性はお茶をだしてくれと山根さんに声をかけた際、黙り、抗弁をしてくれなかったと述べている。最近、台湾の女性記者にお会いしたが、彼女も日本は地方に行くと男女差別がはなはだしいと述べていた。わが日本は良いところはたくさんあるが、島国過ぎて、世界の流れにだいぶ遅れた状況でもあるのだ。と口で言っても始まらないので、例えば女性の政治家の一定の数字を決め、国会議員は、必ず3割以上は女性が占めなければならないと決めるのだ。
安倍政権の対中雪解け前でまだ極めて中国と厳しい関係のころ、中国から学者の一団を招いた。その希望で、日本の国会議員と通訳を介さず、直接話をしたいとの希望があり、若手の議員に声掛けしたが、皆しり込みだったが、女性議員、この場合は山形県の議員の大沼みずほ議員が快く引き受けてくれ、いろいろ懇談ができた。大沼議員は先の選挙で落選された。今どうしておられるのか。90年代に北京で世界女性国際会議が開催された際、知り合いの英国人外交官が、引退されたばかりのサッチャーさんを紹介してくれた。彼女は、きっと私を驚かせようとしたのだろう、あなたは、「----」議員を知っておられるかと質問してきた。政治家の名前などあまり知らない筆者は、知らないと答えた。すると笑いながら優秀な議員だから応援しなさいと述べた。この方は、北海道選出の議員で今はやめて、国際交流団体の理事長をされておられる。このエピソードをお会いした際述べたところ、あなたはどこかでこれを書く際、自分の名を出したら承知しないと厳命されてしまった。女性の優秀な議員は多いが、日本では長く勤める方はまだ少ない。
話が違うが、今月の文春春秋の記事、久邇邦昭氏の「日本にもディベート教育を」と安田峰俊氏の「習近平「日本料亭の夜」(副題として、日本人8人が証言する独裁者の素顔)は、必見の読み物だが、筆者が追加すると、習近平夫人が尊敬し傾倒する日本の芹洋子氏の存在を忘れてはならない。日中が極めて深刻な事態となったときに、助けを求めれるのは、芹さんかもしれないと半分は本気で思っている。
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