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2021-09-17 00:00
(連載2)中国の石油・天然ガスパイプライン網の行方
倉西 雅子
政治学者
今般、中国もまた、パリ協定の枠組みにあって協力的な姿勢を示し、脱炭素に向けて野心的な目標を掲げていますが、同国は、この「国際公約」を本気で守ろうとするのでしょうか。同国が脱炭素を実現し、一帯一路構想の下で巨額の資金を投じて地球規模で建設してきた広大なパイプライン網を砂漠の砂やシベリアの凍土に埋もれるままにさせるとは思えません。情報隠蔽やデータ改竄を得意とする国ですので、表向きの数字では目標値の達成をアピールしながら、その裏では、パイプライン網を活用しつつ’炭素依存’が続いてゆくものと推測されるのです(もっとも、将来的な枯渇は予測されますが…)。
それでは、中国が国境を越えた広大な石油・天然ガスパイプライン網を構築することで「世界の工場」の座を維持する一方で、自由主義国では、石油も天然ガスも、そして、石炭も不要とする経済を構築するという方向に向けて邁進したとしますと、国際社会はどのような状況に至るのでしょうか。後者の諸国では、原子力に対しても逆風が吹いていますので、目標を達成しようとすれば否が応でも代替エネルギー源として再生エネの割合を高めざるを得なくなります。
そして、再生エネ拡大に必要となる太陽光パネルや風力発電施設の大生産地こそ中国に他なりません(対中依存度の上昇…)。また、自由主義国が脱炭素を進めれば進める程、石油や天然ガス等の価格、並びに、採掘権の入札価格等は下落しますので、中国は、ライバルの’自発的退場’により安価、かつ、安定的に鉱物エネルギー資源を独占的に確保することもできます。
このように考えますと、脱炭素化とは、中国に好都合なツールにも見えてきます。脱炭素という言葉は耳に心地よいのですが、その行く先を予測しますと、権威主義国家の増長と自由主義諸国の弱体化と従属化、並びに、同国を中心とした広域経済圏の出現という忌々しき未来が待ち構えているように思えるのです。(おわり)
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