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2021-09-16 00:00
(連載1)中国の石油・天然ガスパイプライン網の行方
倉西 雅子
政治学者
中国が提唱してきた一帯一路構想は決して机上の空論ではなく、現実の世界にあって着々とその計画が実行に移されてきました。同構想を支える一つの基盤が、中国を中心とする石油や天然ガスのパイプライン建設です。人民元のデジタル化を軸とした「人民元圏」の実現に先立って、中国を中心としたエネルギー供給網の整備が進められたのです。
早くも2009年には、トルクメニスタン、ウズベキスタン、カザフスタンを経由して中国に至る天然ガスのパイプラインが開通し、2012年から、ウズベキスタンによる対中供給が既に始まっています。2015年には、イランからパキスタンを経て中国に至るパイプラインの建設計画に関する協定も結ばれています。北方を見ますと、2019年12月には、資源大国であるロシアとの間にも、「シベリアの力」と命名された大規模な天然ガスのパイプラインが開通し、中ロ接近の象徴ともなりました。そして、南方を見ますと、ミャンマーとの間に石油・天然ガスパイプラインが建設されており、中国・ミャンマーを結び付ける絆の役割をも果たしているのです。ユーラシア大陸を一望しますと、そこには、経済大国と化した中国を中心としたエネルギー供給網が既に出現していることに気付かされるのです。
国際的なエネルギー供給網の構築に加えて、中国国内にあっても、全国を張り巡らすパイプラインの建設が進められており、中国の経済成長をインフラ面で支えています。そして、新華社通信が8月26日付で報じたところによれば、中国石油天然気集団傘下にある中国石油大慶油田は、推定地質埋蔵量12億6800万トンのシェール油田を発見したそうです。
かくして、全体主義、あるいは、権威主義的傾向に強い諸国を包摂する形で「中華経済圏」が出現しそうな勢いなのですが、その一方で、EU諸国のはじめとする自由主義国では、急激な脱炭素化の動きが起きています。世界有数の石油・天然ガス生産国であるアメリカにあっても、バイデン民主党政権はパリ協定に復帰して脱炭素の方向へとエネルギー政策を転換させましたし、日本国の菅政権もまた、首相就任とほぼ同時に非現実的とも言える脱炭素計画を発表して国民の多くを驚かせました。この流れは政府レベルに限ったことではなく、民間をみましても、とりわけ金融界は脱炭素に積極的であり、一般企業への融資に際してもSGDs推進やESG投資の名の下で脱炭素への取り組みが重要な審査項目とされているのです。言い換えますと、民間企業を含めて経済全体が脱炭素化へと強力に誘導されているのです。(つづく)
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