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2021-09-11 00:00
米中の対話
中山 太郎
非営利団体非常勤職員
報道によれば、10日バイデン米大統領と習近平中国国家主席が電話会談した。バイデン大統領は、「誤解や予想外の衝突を避け、米中関係を軌道に戻すようお互い努力しましょう」と発言、その他「一つの中国」原則を米は変えるつもりはない。気候変動などについてお互い意思の疎通や協力を強めましょうと述べ、中国側は、コロナ対策など重大な国際問題で協力しましょう、お互い今でている食い違いを適切に管理すべく努力しましょうなどと述べたと言われる。
いま、日本では、台湾有事と中国包囲網でもちきりで、米は中国の現状変更は容認しないと強い態度で対峙しているとの空気が強い。しかし、国際情勢は千変万化で、対決色とともに、緊張緩和に向けての動きも垣間見られるのだ。報道では、北朝鮮が9日、建国73年の節目となる年以外では異例な軍事パレードを実施した。経済難が続く国内の結束を図る狙いなど分析されている。また、ミサイルなどは登場せず、これは米を挑発しないためだなどの見方がもっぱらだ。
日本で評判が悪い国際オリンピック委員会が、北朝鮮が、東京五輪不参加を強行したことへの罰として、2022年末までの資格停止処分も発表した。北は北京五輪へ参加できなくなり、これは韓国の今の対北融和政策にも影響が出ると言われる。同じ紙面に、中国は、タリバンによる暫定政権が始動したアフガニスタンに対し、新型コロナウイルスワクチン300万回分食料、医薬品など計2億元(約34億円)の緊急援助したとある。
9月10日付の本欄の岡本裕明氏の「普通の国になったアメリカ」は、読ませる内容だが、その最後の語句「アメリカはドライな国です。彼らはこういうでしょう。戦後76年もアメリカは日本を守り続けてきた。だけど、そろそろ自立するべきだろう、と。引導を渡されたら、日本に立ち上がる筋力があるのか、ということもよく考えるべきでしょう。」は胸に突き刺さる。普段読まない「東京新聞」9月10日の朝刊の記事、「米国の20年戦争ー9.11の傷痕から」のイラク人の話題、「両親に連れられ、米国に移住したのは生後1か月の時、以来イスラム教徒として育ったが、民族や人種の差を強く感じることはなかった、だが同時テロが一家の運命を変えた、米国内で差別を横行させながら、故郷イラクに爆弾を落とし、同胞の命を奪っている米国。親戚たちは難民となって離散。米国の格差は埋まらぬまま、あのテロから20年を迎える」。新型コロナウイルスの拡大でアジア系差別が増え、昨年の憎悪犯罪は、7千7百59件と過去最多。だが、それでもこのイラク人は信じている。「宗教や人種が違っても、われわれは痛みを共有できる。対立は対話でしか乗り越えられない」は読ませる記事だ。
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