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2021-09-10 00:00
(連載2)普通の国になったアメリカ
岡本 裕明
海外事業経営者
しかし、冒頭のアメリカが偉大だと思われる理由は崩されつつある点も見逃せないのです。国土は3位のアメリカ(983万㎢)と4位の中国と23万㎢の差しかありません。資源はシェールオイルで一時期は世界で最も原油を採掘する国だったのに今は環境問題で低落の一途です。人口では、人数というより移民国家としての変質が気になります。もともとは欧州などの白人が移民し、そののち、ヒスパニックが増え、今はアジア人が増えています。では今後、イスラム系を受け入れるかといえば疑問符が残るのです。つまり移民国家アメリカの行方がよく見えないのです。
経済と金融はまだ世界の中心にあります。しかし、暗号通貨が何らかの形で普及するのに合わせてドルの威信が今のような形にならないことも予見できるのです。中米エルサルバドルは来週からビットコインを法定通貨にします。多くの新興国はその行方を見守るでしょう。予備軍としてベネズエラ、トルコ、キプロス、アルゼンチンなどの名前が上がります。中国は元のデジタル化と国際化を確実に進めます。
アメリカはなぜ変わってきたのか、その一つに移民層の変化とともに非白人系の声がより強くなったからでしょう。その分野についてはカナダのほうがはるかに進んでいます。そして白人が外に逃げる傾向が見て取れます。英国ロンドンの人口分布でも同様の傾向がみられました。白人層はより保守的に、そして非白人層がより民主的政治を求める、こんな対立構図が出来つつあるのです。国際社会の枠組みは民主的でありますが、それゆえに決められない仕組みでもあります。国連はその最たるものでしょう。ゆえに世界で力をつけつつあるのは皮肉なことに独裁的国家や強い指導力をもった国家であります。今、バイデン大統領にそれを求めるのは無理。ハリス副大統領においてはその存在感すらなく、副大統領職務遂行にかなり苦戦しているとされます。
アメリカが普通の国になったら日本はどうすべきか、ここはよく考えておく必要があります。アメリカの傘の下という考えはいずれできなくなる、それは考えるべきでしょう。アメリカはドライな国です。彼らはこういうでしょう。戦後76年もアメリカは日本を守り続けてきた。だけど、そろそろ自立するべきだろう、と。引導を渡されたら、日本に立ち上がる筋力があるのか、ということもよく考えるべきでしょう。(おわり)
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