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2021-09-01 00:00
(連載2)喫緊の課題としての気候変動問題
鈴木 馨祐
前外務副大臣
まさにこうした点を考えれば、地球全体で温室効果ガスを大幅に削減せねばならないというのはもはや選択ではなく、やらねばならない現実だということ、この点はおそらく多くの国民の方々には共通認識として共有されていると思います。その一方で政府や経済界においても、危機感や時間軸は正直ばらつきがあることは否めません。今回改正されるエネルギー基本計画を見てもその点は明らかです。
また、トランプ政権をはじめ、未だに一部でみられる論調ですが、人類の活動と温暖化、気候変動が極めて高い可能性で相関しているエビデンスがあるにもかかわらず、100%立証できているわけではないということで、そうではない極めて限られた可能性に賭けて、対応を遅らせたり積極的にやらなかったりする事は、将来に責任を負う政治家として合理的に見て正しい判断ではありません。もちろん、地球全体でどのくらい削減せねばならないのか、という科学の議論の次に来るのは、各国、各セクターがどのくらいの削減をするのかという「政治」のステージとなる。そしてその政治の駆け引きで、これまで対策が総論賛成、各論反対の状況に陥ってきたのもまた事実です。
しかし、昨今の様々な状況を考えれば、そうやって自国の負担を少なくすることに目が行くあまり(もちろん国益をかけた交渉をするのは当然ですが、そのことで全体が進まないことは肯定されるべきではありません)対策が遅れることで、大きな負担を負わされるのは将来の世界全体であることを我々は認識する必要があります。そして対策が早ければ早いほど負荷は少なくて済む。加えて、適切な規制のあり方や進むべき方向性を早いタイミングで示すことで、正しいマーケットが生まれ、正しい価格メカニズムと資金の流れができ、必要なイノベーションが進むエコシステムを形成することができる。私は今回の報告書の公表を契機に改めてこうした認識を国際的にも国内でも共有した上で、具体的な対策や規制の議論を加速していくべきであると考えます。
こうした思いで、私自身、脱石炭の論陣を党内や政府内で張り、またサステナブルファイナンスに関する提言を総理に提出するなどしてまいりましたが、「現在の既得権の調整ではなく、将来の利益を最大化することこそが政治家の責務である」、このことを改めて私自身も肝に銘じて今後の政策立案に臨んで参りたいと思います。(おわり)
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