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2021-08-23 00:00
長島議員の「日台間に台湾関係のような法的枠組みを」を読んで
中山 太郎
非営利団体非常勤職員
我が国の国会議員の中でも優れて国際関係に精通し勉強家でもあられる長島議員による、姉妹e-論壇「議論百出」における論考「日台間に台湾関係のような法的枠組みを」を興味深く読んだ。筆者よりはるかに国際場面での緊迫さをご存じ議員の論に反論するのは申し訳ないが、少し述べさせていただく。
台湾関係法は、一言で述べれば米国の台湾についての基本の政策などを規定した同国の国内法である。日米の最大の差異は、米は台湾と米華相互防衛条約が結ばれていたことだ。そして、世界からの移民受け入れ国でもある米には在米の台湾人、また、中国大陸から共産主義の圧政を逃れてきていた人々が住み、中には選挙権を得ていて議員への活発な働きかけもあったのだ。米は、ベトナム戦争からの離脱狙い、ソ連と中国の離間、そして将来的に期待される巨大な市場を米企業のため獲得しようとしての思惑から、日本などを裏切り、中国と国交を樹立し、台湾と国交を切ったのだ。
この突如の政策変更は日本へ大きな衝撃を与え、国連で台湾の地位確保に奔走した佐藤政権を瓦解させ、本来想定されていた福田ではなく田中政権が後継した。やみくもに突進した同政権の対中外交ではあるが、台湾問題を米国的な詳細な法文化するのではなく、官房長官談話だけで済ませることができた。これは、政策の実際の施行の場面で、解釈が色々可能ともなり政府を助けた。例えば、台湾外交官への外交特権は認めないとしながらも、それに準ずる対応をしている。民間機関である日台交流協会設立など、日本が考え出し、米国はじめ世界各国が追随している。今や多くの人が忘れているが、日中国交開始当初は、日本側もピリピリしてもいた。霞が関の郵便局で、ある台湾の人が故国へ郵便を出そうとする窓口で、中華民国と書くな、中華人民共和国とせよ、と言われたりした。
台湾の蔣介石総統総統が逝去した際、佐藤元総理が台湾へ駆けつけようと航空機の手配をした際、日本の某航空会社の台湾路線を飛ばせている子会社は、のらりくらりと拒否したのだ。中国から、後から何を言われるかと恐れたのだろう。佐藤総理は米のノースウエスト航空機で飛び立った。軍事力の弱い日本は、のらりくらりと中国の圧力をかわしながら外交を続けなければならないのだ。世界ナンバー1の米とは違うのだ。長島議員はそうではないが、日本人の中にはややもすると、台湾が親日的だと決めつけ、それが永遠に続くような言動をする向きのあるが、人同士と違い国と国の関係は一夜にして激変するものなのだ。尖閣諸島問題など、必ずしも日本一辺倒ではない。台湾の国益問題となれば、国の当事者は目の色を変えるのだ。台湾世論も反日となるのだ。
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