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2021-08-23 00:00
カブール陥落
古閑 比斗志
医師
アフガニスタンには海が無い。国境に囲まれた内陸国である。西にイラン、南にパキスタン、東に中国、北にCIS(トルクメニスタン・ウズベキスタン・タジキスタン)に囲まれている。中国はアフガニスタンと直接国境を接している。中国政府は、カタールにいたタリバン首脳陣と以前からコンタクトを取っていた。最近、欧米による中国敵視政策により新疆ウイグル問題が海外プレスでクローズアップされているが、中国は以前から新疆ウイグルにイスラム教テロリスト活動等問題を抱えている。中国の王毅外相は、既にタリバンがアフガニスタン国内でテロ組織の活動を認めないように協議をしているが、ロシアのラブロフ外相は今後のタリバンの行動をみて政権を認めるかどうか決めるとの発言をしている。英国、カナダはタリバン政権を承認しないように各国に要請した。G7の結果次第である。米国はアフガニスタンから米国関係者が無事空路で脱出できるようタリバンに要請している。中国にとって、歴史的にアフガニスタンはシルクロード等東西を繋ぐ大変重要な国である。現在においてもアジアンハイウェイが通り抜ける交通の要所である。
基本的にはパシュトゥーン人が中心ではあるが、多くの派閥が存在するタリバンの侵攻により、大統領は国外逃亡し、戦わない政府軍を蹴散らしカブールを陥落させたが、マスードの息子を始め北部同盟は以前のようにタリバンに対抗する事を欧米のプレスに宣言している。アフガニスタンはイギリスと戦ったり、この世の楽園と言われたこともある。1978年共産党政権樹立後に、全土で武装勢力が蜂起したため1979年ソ連が侵攻した。ソ連に対抗する為、米国CIAが資金とスティンガー(携行地対空ミサイル)等武器をムジャヒディンに供与(サイクロン作戦)。ムジャヒディンがソ連軍と戦った結果、1989年ソ連は撤退した。その後、パンジシールの獅子「マスード」の北部同盟はタリバンと戦うもタリバンは1996年カブール・カンダハール等主要都市を掌握した。当時タリバン政権を承認したのはパキスタン、トルクメニスタン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦のみである。2001年2月26日、タリバンのオマル師は仏教石窟が偶像崇拝につながるとして、これらの仏像を破壊する布告を発出し、バーミヤンの仏像を破壊した。国連安保理はこの破壊令を非難する声明を出した。
2001年6月、ダークウィンターエクササイズ(バイオテロシミュレーション)は、米国プレスや上院議員等を対象として演習が行われた。シナリオは、イラクによるアルカイダへの技術供与によりアフガニスタンで天然痘テロが準備され、米国で天然痘(痘瘡)同時多発バイオテロが決行されるとどうなるか、というシミュレーションである。天然痘テロは決行されなかったが、当時日本は米同様痘瘡ワクチンを備蓄しておらず、国家予算を投じてかつて開発した痘瘡ワクチンLC16M8株を復活させ、備蓄することに成功したのである。2001年9月9日にマスードは自爆テロで殺害され、アルカイダによる2001年9月11日、米国同時多発テロが実行された。タリバンはオサマビンラディンが率いるアルカイダを匿っていた事で米国に攻撃されることとなった。アフガニスタンには、かつてのムジャヒディンであるサウジアラビアから来たアルカイダが活動していた。米国は2001年10月7日不朽の自由作戦(Operation Enduring Freedom)を開始し、アフガニスタンのタリバンを撃破した。タリバンは主要都市から山岳地帯に逃げ、カブールは解放された。米国はバグラム空軍基地を設置した。バグラム空軍基地にはメディバック(医療救助)のヘリと野戦病院が設置され、近接航空支援(CAS)専用機A10サンダーボルトが配備され対タリバン地上攻撃が継続された。ISAF国際治安支援部隊は、2001年12月から2014年末まで首都カブールに展開した。英米NATO軍を中心にカブール空港及びカブール市内各地に各国キャンプが展開された。
HQ(司令部)は英国、トルコ、ドイツ、フランス、NATO、米国と変わっている。私が出張、赴任した2005年までは、自爆テロやロケット攻撃はあったが、カブール市内は比較的落ち着いていたので毎週土曜日に各国軍医が集まり、各国キャンプにおいて持ち回りで開催するメディカルミーティングにシビリアンとして防弾車で乗りこみ参加する事が出来た。トランプ大統領とバイデン大統領の米国は、アフガニスタン撤退を決めた。2021年8月15日タリバンの攻勢によりカブールは陥落した。ガニ大統領は戦わずして、国外逃亡したのである。各国外交団はカブールから退避した。2021年8月17日在アフガニスタン日本国大使館員12名ドバイへ退避のニュースあり。8月23日日本政府は日本国大使館現地職員及び家族等関係者、JICA、国連職員のアフガニスタン脱出のため自衛隊を派遣する用意があるとのこと。タリバン広報官は、イスラム法に基づき女性の活動を許可するとテレビ局ではアフガニスタン女性キャスターに答えている。また恩赦を与え人々に仕事へ戻るように指導している。タリバンの指導者たちはカタールに逃れていたが、当時バーミヤンの仏像を破壊した行為についてインタビューされた時に、テロリストたちの意思で破壊したのであり自分たちの意思ではなかった旨、発言している。タリバンは穏健派から強硬派まで派閥が存在するタリバンはかつて女性の教育機会を奪い、耳や鼻を削ぐという残酷な処刑や市中における公開処刑をしていた。今後の動向を見守る必要がある。
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