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2021-08-22 00:00
外交は細部への目配りが大切だ
中山 太郎
非営利団体非常勤職員
アフガニスタンのイスラム主義組織タリバンの首都カブール回帰の事態で、西側各国は今テンヤワンヤの状態だ。それに日本もそうだが、新型コロナウイルスのワクチンの接種で経済は急回復するとの目算が、デルタ型が猛威をふるいだしており、どうなるかわからなくなってきた。アフガンの今回の惨状で、米時代は西側の同地域への影響力は極めて薄くなってしまったと盛んに西側のマスコミが煽っている。
しかし、1975年の南ベトナムの首都サイゴンの陥落後の有様をもういちど思い出してみよ。ベトナム戦争に米があれだけの金と人命をかけたのは、ドミノ理論を心底信じ込み、南ベトナムが倒れれば東南アジアはドミノのように共産化すると思い込んだからだ。しかし、その後何が起こったか?歴史の不可思議というべきか、ベトナムを支援していた中国がベトナムへ急遽攻め込む中越戦争が起こったのだ。この戦争の真の理由は様々な分析があるが、いうことを聞かなくなったベトナムを懲らしめるためとか、文革で国内で唯一その組織を温存し、のさばり始めた軍部を懲らしめるためだとか言われる。
戦争に参加したベトナム側の軍人にインタビューしたことがあるが、中国軍は、味方の兵士が倒れ、阿鼻叫喚の中を、それらをひき殺して戦車を侵攻させてきたとその冷酷ぶりを語る。戦争の 結末は、圧倒的な数で攻め込んだ中国軍の勝利どころか、負け戦であった。これは、鄧小平の自国の軍部に真の力をわからせるための教訓戦争だったと述べる学者もいる。サイゴン陥落後、カンボジア、ラオスを除き東南アジア諸国も中国べったりにはなっていない。
一つのカギを握るのはパキスタンだ。同国はインドとの対抗をする上でアフガニスタンがインド側に行かないように陰で支援してきた。ときに国内でタリバンの関係組織からの過激な反政府攻撃にもかかわらずだ。今も、中国の最大の盟友国にもかかわらず、中国人対象のテロは起こっている。ベトナム戦争末期におけるパキスタンの最大の盟友国は米国であったことも忘れられない。今米国内で、世界は必ずしも米中のうち米を圧倒的に支持しているわけではない。貿易では日欧など先進国も中国との取引が多くなっている。米の金融機関はじめ企業も、中国の潜在的な成長率をにらみ、熱い視線を当ててもいるのだとの論だ。そしてこの中国と対話をする上では、その懐に飛び込むことも必要だとの意見もある。米中対立の今後も注目される。
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