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2007-07-27 00:00
連載投稿(2)環境問題に関する「日中韓首脳会議」を開催せよ
廣野良吉
成蹊大学名誉教授
このところ連日のように、わが国の新聞紙上、テレビ番組は新潟中越沖地震の被害状況を論じているが、地球温暖化は、ここ数年来、中越地震を上回る人的・物的被害を世界の各地で引き起こしてきた。数年前フランスをはじめ西ヨーロッパ諸国では、熱波により1万人を超える死傷者が出ており、米国では南部諸州を襲ったハリケーンがもたらした死傷者、都市、農村の破壊は言語に絶するものがあった。先週来英国を襲っている大洪水や中東欧諸国における熱波の到来は、数年前のフランスでの人的・農産物被害を上回るだろうと推測されている。今月25日の朝日新聞朝刊は、米・英・カナダ・日本のチームによる共同研究で、20世紀の降水量が、北半球の中・高緯度地域では62ミリ増え、低緯度地域では98ミリ減少しており、生態系や農業に大きな影響を与えているが、この気象上の大変動には地球温暖化が大に影響していると論じている。
目を東アジアに転じると、わが国の現状では、京都議定書で2008-12年の第1約束期間に義務付けられたGHG1990年比6%削減目標からは程遠く、昨年末で既に8%も上回っている。お隣の中国では、砂漠化の急激な進展で、水資源への影響が深刻化しており、黄砂による被害は、酸性雨と同様に、隣国である北朝鮮、韓国、日本にまで及んでいる。本年春以降北九州市で発生している光化学スモッグは、中国大陸からの影響と地元では考えられている。今年も、隣国での環境破壊の進行を反映して、閉鎖性海域である日本海に面した北陸、東北地帯では、針のついた注射器など膨大な有害廃棄物が海岸に打ち上げられている。特にPCBなど海水中の有害化学物質を吸着したプラスチックゴミが魚介類の体内に蓄積されると、その魚介類を口にする人々の健康へも何らかの影響を与えているとみるのが当然であろう。こうして、現在東アジアで日増しに激化している環境破壊は生態系の劣化、人間の健康をも害していることになる。なお、環日本海環境協力センターは、海辺の漂着廃棄物は年間15万トンに上ると試算している。
この北東アジアにおける環境破壊の実態を直視して、従来続けてきた「日中韓環境大臣会合」に加え、「北東アジア環境共同体」構築構想を具体的に提起するため、いまや環境問題に関する「日中韓首脳会議」を開催することを提言したい。(おわり)
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